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@hitoshi annex on hatena

@hitoshi annexがはてなに引っ越してきましたよ

顧客志向について

 
最近、寝付きが悪かったり、なぜか精神的に落ち着かないことが多くなったのですよね。で、なぜか考えたんです。そしたら一つのことに気づきました。
以前より、「競合サービス」を気にすることが増えてたんです。
 
確かに、最近は競合のことを意識する場面が少なくありません。
資金調達とかアライアンスの交渉の中では当然競合について聞かれますし、セールスチームも営業先で競合の名前を耳にすることが増えていると言います。
営業先で「トレタさんはうちに比べたらまだ始まって間もないサービスですから、そのうち絶対にトラブルが起きますよ」なんて競合さんが話しているとか聞いたら、そりゃ心穏やかではいられません。
競合さんの間では合従連衡も進んでいますので、そういう噂話だってイヤでも耳に入ってきます。
 
でもね、これってほんと良くないと思うんです。事業に取り組む上で、競合の話ってほんとに「ノイズ」でしかないと思うんです。
 
そういうわけで、今回は自らへの戒めを込めて「顧客志向」についてです。
 
★★★
 
思うに、やっぱり会社ってのは「顧客>競合」という文化を徹底してすり込まないといけないと思うのですよね。なぜかというと、「対顧客」であれば自分たちの力でどうにでもできるけれど、「対競合」では自分たちがコントロールできることはほとんどないから。そして、競合を意識していてもお客様に提供する価値を高めることには繋がらないから。
 
お客様から「こういう機能が欲しい」「使いづらい」「価格が高い」という声があるなら、それは僕らのがんばりでどうにでも解決できます。機能を追加や改善するも良し、価格を下げるも良し、万が一どちらもできなくても、お客様にしっかり説明したりサポートすることで、納得してもらうことだってできるかもしれません。
一方で、競合がどういう機能を開発するかとか、どういう価格戦略なのか、どういう売り方をするかを知っても、僕らにそれを止めたり変えさせたりすることはできません。そりゃ、対抗して価格を下げるとか、機能を追加するとかは可能かもしれませんが、競合がさらに価格を下げてくる可能性もあるわけで、最終的には果てしないチキンレースをすることになります。
 
競合を意識した瞬間に、自分たちの力ではコントロールできない要素が増えすぎて、何をやっても精神的な落ちつきや手応えを得ることはできなくなるんですよね。
お客様に対して自社サービスが価値を提供できているか、役に立てているのか、という視点で見ていれば、少なくとも自分たちの歩み方は間違っていないと思えるかもしれないし、もっとポジティブに改善へのモチベーションを得られるはずなのに、本当に勿体ない話です。
 
僕らは何のためにサービスを作り、運営しているかと言えば、それはただ一つ「お客様の問題を解決して、ハッピーになってもらうため」以外の何ものでもありません。
その目的でスタートしたはずなのに、いつしか「ライバルに勝つため」に目標が変わってしまうことがあるんですよね。その変化は、あまりにゆっくりと、あまりに少しずつ、あまりに違和感なく進んでいくので、自分たちも気づかないことが多い。
結果として、顧客視点を忘れて、お客様不在の不毛な競争を繰り広げることになってしまうというわけです。
競合と張り合うのではなくて、顧客により高い価値を提供することが仕事の本来の目的なのですから、自分たちの課題に集中し、改善や改革に全力を注がなければ、結局はライバルとの競争にだって勝てなくなってしまいます。
 
こういうことは、飲食店でもよく見聞きしました。
もともとは、お客様においしいご飯を提供したいという純粋な思いで始めたお店だったのに、自店が苦戦している一方で、隣のお店が大繁盛しているのを見ると、だんだん原点を見失い始めます。そして中には「隣が暇になればウチが儲かるんじゃないか」と誤解して、隣のお店に対して営業妨害するお店が現れたりします。クチコミサイトに誹謗を書き込んだり、架空の予約を入れて無断キャンセルしたり、最悪の場合では店頭に積んである仕入れ食材に異物を仕込んだりというケースも聞いたことがあります。
でも、それをやったからといって自分たちのお店が繁盛することは絶対にないんですよね。むしろ、そういうことをやるような意識のお店はどんどんクオリティが下がって、結局自滅することがほとんどです。
 
で、そうならないための杖になるのが「顧客志向」だと思うのです。
 
競合との戦いに夢中になってしまうと、「機能追加合戦」となることがあります。
あっちのサービスにはこんな機能があるんだから、ウチだって追加すべきだ!商談でも「おたくは機能が少ないね」って言われたから、これは最重要課題なんだ!と。
でもこうして競合しか見えなくなってしまうと、顧客の求めていない不要な機能を次々に追加して、画面がボタンだらけになり、結果として誰も得をしない「使いづらい機能の化け物」のようなサービスになってしまう可能性もあるのですね。
顧客をハッピーにするためには、敢えて機能を削った方が良いこともあります。でもそれは必死に顧客を見て考えているからこそできることであって、競合に気を取られていたら絶対に決断できないでしょう。
 
もちろん、一方で「競争相手がいるからこそサービスが良くなり、市場が拡大する」という面があるのも事実です。その場合は、競合と「健全に戦っている」ことが前提になるのでして、どちらがお客様の心を掴むことができるか、どちらがよりお客様に多くの価値を提供できているか、で競っているからなのですよね。やっぱり競争するならそうありたいし、こちらもそういう戦い方をしたいと思っています。
 
★★★
 
世界で最も「顧客志向」の強い会社の一つにアマゾンがあります。アマゾンの話は書籍にも詳しいのですが、ベゾスは競合について語ることは一切ないそうです。「中の人」から漏れ伝わってくる限りでも「お客様の利益のためには、社員が犠牲になってもやむなし」みたいなところまでその文化を突き詰めているような印象を受けています。
結果として、アマゾンはその姿勢がぶれることなく一貫して成長を続け、競合はそれに全く対抗すらできずに敗退している状況となっています。
 
アマゾンは「可能な限り利益を出さず、全てを成長につぎ込んでいる」とか「一円でも税金を減らそうとしている」、だから強いのだ、という論調をよく見かけますが、ベゾスの発想の原点は多分そこじゃないんだと思うんですね。おそらく、彼らは利益が出るならその利益分を全て顧客に還元することで、圧倒的な顧客の支持をより盤石なものにしようと考えているんじゃないかと思うのです。
ということで、本を読む時間がない方は、まずはこの記事を見るだけでも。
http://narumi.blog.jp/archives/2140984.html「競合を見るな。顧客を見ろ」--Amazonの徹底した顧客志向に関するベゾスのインタビューが超よかった : blog @narumi
 
★★★
 
顧客志向を徹底するのは、口で言うほど簡単なことじゃありません。
気をつけているつもりでも、ほんの些細なところから顧客志向がぶれ始めることがあって、やっぱり気をつけて口酸っぱく言い続けないといけません。そういう意味でも、アマゾンの徹底ぶりは非常に参考になります。やっぱりあそこまで徹底するからこそできることもあるんですよね。
 
それに引き替え、自分たちときたら…
そんな反省を踏まえて、まずは僕は商談の都度、プレゼン資料を必ず毎回作り替えることにしました。
プレゼン資料を「自分たちのことを説明するための資料」だと定義すれば、説明都度を作り替える理由も意義もありません。でも「商談とはお客様の会社の問題を解決するための場である」と考えたら、全く話は変わります。会社が違えば課題は千差万別なのですから、お客様の課題に応じて、その内容は毎回変わってしかるべきです。
顧客の課題そっちのけで自分たちのサービスのアピールに終始しているようでは、そもそも顧客志向なんて望むべくもないんですよね。
 
 
よければ、ちょうど弊社経営企画の吉島もこんなことを書いていますので、どうぞお読み頂ければ。
https://note.mu/yoshijima/n/n2a7112738632