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トレタというサービスが目指すもの

 
すでにいろいろな媒体でも、トレタの機能やサービスの概要について取り上げていただいていますので、興味のある方はある程度ご理解いただけているかもしれません。
が、そこからさらに踏み込んで、トレタはどういう考え方に基づいて企画され、最終的にどういう世界を作ろうとしているかについては、まだ僕自身、それほど多くを語れていないと思いました。
 
まあね、過去のサービスに比べると地味だし、想定しているユーザーさんも限られてるしね、だからまあ公に何かを述べるというより、お会いする一人一人の飲食店の方々に丁寧に語れればいいかと思っていた部分もあるのですが、でも求人が始まったりしていますし、アライアンスのお話も頂いたりするので、やはりもう少しきちんと広く考えを表明した方がよいかと思い直した次第です。
 
そこで今回のエントリーでは、僕自身の考え方と併せて、もう少し概念的なところでトレタをご説明したいと思います。
 
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【トレタと過去のサービスとの共通点】
 
僕自身も最近認識したのですが、じつは僕が企画して開発されたサービスには、一つの共通点があるのですよね。
それは「断片化され、散在してしまっている『何か』を一つのところに集約し、定型化し、蓄積し、共有していくと、新しい価値が生まれるのではないか」という考え方です。
 
知る人ぞ知る幻のサービス「kizna」は、いくつものSNSやコミュニケーションメディアにまたがって断片化してしまっている会話を一つのタイムラインにまとめて、同時に一貫されたタグや属性を付与していくことで文脈を与え、相手との関係性をより充実させていくことを目指していました。結局リリースできなかったけどw
 
料理写真共有サービス「ミイル」は、一人一人のスマホやデジカメの中に散在したまま役目を終えてしまう食べ物の写真を一カ所に集めることで、「お客様が撮影してくれた料理写真」という新しい資産を飲食店に作りだそうとしていました。
同時に「朝ご飯も、ランチも、晩ご飯も」「家の手料理も、外食も、お弁当も、出前も」という観点で、これまで断片化されてしまっていた食のログを一つにまとめることで、今まで見えてこなかった「食生活」や「食文化」「食のトレンド」を見える化し、新たな価値を作り出そうとも考えていました。
 
そしてトレタも、まさにその考え方に基づいたサービスになっています。トレタは、「紙の台帳によって散逸したまま役割を終えている予約情報を一カ所にまとめ、定型化し、蓄積し、共有することによって、新しい価値を創造する=お店とお客様の関係性を改善するツールを提供する」ことを最終的な目標としているのです。
 
 
【なぜトレタが必要なのか】
 
今や、飲食店を予約する媒体は、数年前に比べると爆発的に増えています。以前は電話だけが唯一の予約手段だったのに、今ではメール、ツイッターFacebook、LINE、ぐるなび食べログ、OpenTable、一休、Ozmallと、数え切れないほどの媒体から予約が入ってくるようになってしまいました。
しかも、いつもは電話で予約していた人がツイッターで予約してきたり、メールで予約してきたりと、同じ人が毎回必ず同じ媒体から予約をしてくるとは限りません。
現場の予約担当者は、それらに全て目を通し、漏れのないように細心の注意で予約を管理していますが、できることには限りがあります。ミスだって日常茶飯事です。
 
また、大規模なお店になれば、お客様の情報をスタッフ間で共有することも困難です。 初回来店はスタッフのAさんが接客したけれど、2回目の時はBさんが担当したとしたら、その二名の間でお客様の情報を共有することは現実的には不可能です。結果、Bさんはそのお客様を「初回来店のお客様である」と誤解して接客することになってしまいます。せっかくのリピーターさんなのに、そこで「先日はありがとうございました」と言えないことは、お店にとっては大変な機会損失ですよね。
あるいはチェーン店を見てみれば、渋谷本店と恵比寿店、そのどちらにも通ってくれているお客様がいるとしても、その方が両方のお店を利用してくれていることを把握するすべはほとんどありません。「いつも渋谷本店だけじゃなくて、恵比寿店もご利用頂いてるんですね!ありがとうございます!」というひとことが言えるか言えないか。
これも、常連さまのロイヤルティ向上の観点から考えれば、実にもったいない話です。
 
そこで、この種の問題を一気に解決し、お店とお客様の関係性を正しく把握し、それを全てのスタッフが簡単に利用できるようにするために、僕たちはトレタをリリースしたというわけです。
具体的には、多種多様な予約をきちんと全て受け止め、どんな手段でどの支店の予約を受けたとしてもその全てを自動的名寄せし、顧客管理と連動させて正しく「常連度」を把握できるようにして接客の担当者にその情報をタイムリーに提供し、一方で予約管理の負担を少しでも軽減すること。
トレタの機能は、それを実現することを目標に設計されています。
 
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【全ての予約情報をデータ化することに対する執念】
 
全ての予約をデータ化してクラウドに一括保存すること。それによって、前述のようなソリューションが提供可能になります。逆に言えば、それができなければ、飲食業界では永遠にCRMは実現できないままでしょう。
だからこそ、僕らはトレタで「一つ残らず全ての予約をデータ化する」ことにこだわってきました。
 
それを阻む最大の敵は何か。そう、「電話」です。
電話は、アナログデータの駆逐を困難にしている最大の要因です。
電話予約では臨機応変で手際の良い対応が求められます。だから自ずと「キーボードではなく紙の方が素早く対応できる」となりますし、紙にはお客様の検索機能がありませんから「お客様のことを覚えている担当者しか予約対応できない」ということになります。
今の飲食業界で、いまだに9割を超えるほぼ全てのお店が紙の台帳で予約を管理していること。そして、その予約はマネージャークラスのスタッフしか担当できないことは、まさに電話にきちんと対応するためなのですね。
 
ですから、僕らはそこをいかにして乗り越えるかに全ての努力を注ぎ込んでトレタを開発してきました。全ての予約を「ウェブ予約」に移行できる時代は、まだまだ先です。電話の予約は、まだここから先しばらくは残り続けるでしょう。僕らがウェブ予約をテーマにせず、あくまでも「予約管理」や「予約台帳」にこだわっているのは、電話も含めて全ての予約をきちんと受け止めることが、喫緊の課題だと考えているからです。
 

  • 録音機能があって、予約対応時の担当者の発言を余さず記録できること。
  • 手書き機能によって、キーボードを使わなくても予約の内容をメモできること。
  • ウェブではなくアプリの形式で提供することによって、待つことなくサクサク使えること。
  • アプリであることによって、押し間違えづらく迷わない、最高の操作感を実現できること。

 
こういったトレタの特徴は多くのお店ですでに高く評価されていますが、それは単なる「既存の業務系ツールに対するアンチテーゼ」ではなく、「電話予約も含めた全ての予約情報を、容易にクラウドに取り込む」ことを可能にするためなのです。
 
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【トレタが最終的に目指しているところ】
 
そういうわけで、トレタは電話やSNSからウェブ予約に至るまでの全ての予約を受け止めて交通整理をしつつ、飲食店に対して「常連さま情報」や「常連さま予備軍情報」「需要予測」といった、何より重要なマーケティングデータを提供できるインフラになることを目指しています。
もちろん、予約にまつわる手間をこれまでの数分の1に圧縮しながら、です。
 
ありとあらゆる予約情報が全て一元管理され、体系だって蓄積され、自由な活用が可能になると、今までできなかった様々な活動が可能になるはずです。
それは言ってみれば、「お客様一人一人とお店との物語」を見えるものにしていくということなのかもしれません。 お店と出会い、気に入って通うようになり、お店の人と仲良くなり、そしてやがて飽きたり引っ越しをしたりして疎遠になっていく。あるいはまた何かをきっかけにして再び通ってくれるようになる。そんな、お店とお客様との関係性の移り変わりを見える化したら、お店とお客様の関係はもっと豊かになるのではないかと思っています。
それが可能になったとき、飲食店の営業のあり方は根本から変わるのではないか。そんな夢を抱きながら、コツコツと使い勝手を改善してきたいと思っています。
 
ということで、そんな仕事を一緒にしてみたいかもという方や、そういう会社と組んで何か仕掛けようぜという企業さんなどがいらっしゃいましたら、いつでも気楽にご連絡いただければ幸いです!
皆さんからのご連絡を心より、三つ指ついてお待ちしております m(_ _)m
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