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@hitoshi annex on hatena

@hitoshi annexがはてなに引っ越してきましたよ

【トレタ】増資と取締役新任のご報告

久しくブログを更新していなくてすみません。語りたいことは山ほどあるのですが、どこまで語っていいのか悪いのかを考えたら、書けなくなっておりましたw
 
ということでようやく一件ご報告です。
 
株式会社トレタは、6月25日にWiL, LLCが運営するファンドを引受先とする第三者割当増資を実施いたしました。出資金額は2億円(株式シェアは非公開)となっております。
併せて、7月1日より元GMOペパボ株式会社取締役の吉田健吾を取締役COOとして迎え、体制の強化を図ることと致しました。
 
ありがたいことに、記事でも取り上げていただいております。
予約台帳サービスのトレタがWiLから2億円を調達、元ペパボ常務取締役の吉田氏がCOOとして参加 (THE BRIDGE)
 
 
【今回の増資の目的】
おかげさまで、トレタは昨年12月のリリース以来、半年で1,000店舗を超えるお客様から受注をいただくなど、順調に加盟店を獲得しています。
 
今までのトレタで、僕はある種の危機感を感じていました。それは「サービスの勢いに僕らが負けている」ことです。時には、サービスそのものが意思を持ち、その意思で勝手に動き出そうとしているかのような錯覚に陥ることすらありました。
そこで、サービスの勢いに負けない、むしろサービスを手なづけることのできるようなチームを作ることが、今のトレタの最大の課題となっています。
 
また、僕たちの事業のゴールを考えたとき、今のスピードでは全く心許ないのも事実です。競争の激しいこの業界で生き残るためにも、またトレタというサービスの特性を考えても、いかに早く普及させるかが鍵になることは間違いありません。
そのためには、優秀な人材を多く獲得し、どんな競合にも負けないスピードとクオリティで事業展開を進めていく必要があります。
 
まずは、今の僕たちの競争力の源泉であるデザインと開発をもっともっと強化します。優秀なデザイナーさんとエンジニアさんをしっかり採用して、今まで以上のスピードと品質でサービスの開発を進めていきたいと思っています。
気づけば、僕らのサービスは競合さんからもパクられるようになりました。一面では「イラッ」とすることもあるのですが、それは裏を返せば、僕らが「パイオニア」になっているということの証でもあるのですよね。だから、パイオニアであることの誇りを持って、前に進んでいきたいと思います。
 
そして、その開発陣が作り上げた商品の魅力を世に伝え、普及していくための営業やマーケティングの存在も欠かせません。どんなにプロダクトやサービスが優れていても、普及しなければ僕らの目指す世界を実現することはできないのですから。僕らのゴールにたどり着くには、「普及」をミッションとしたチームを整備することも急務となっています。
 
そんなわけで、今回の増資の目的はシンプルにただ一点。人を採用し、強くて面白いチームを作ることです。
 
 
【なぜ引受先としてWiLさんを選んだのか】
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今回の増資に当たって、どんな投資家さんから出資を受け入れるか。
僕たちはいくつかのルールを設けることにしました。僕らは過去にも何度か投資家さんたちから出資を受けた経験がありますが、そのときに失敗したこと、うまくいったことを踏まえて、これだけは守ろうと思いました。

  • 今後の外食産業の展望について同じ絵を共有できること
  • トレタの価値を「正しく」認めて、ゴールを共有できること
  • トレタの将来の可能性を信じて、理想の実現に力を貸してくれること
  • 事業の方針について、経営陣の考え方を最大限尊重してくれること

 
要は「信頼して任せて欲しいけれど、だからといって何もしてくれないVCさんは困ります」という実に身勝手な要望です。でもスピード感と責任感を持って事業に当たっていくには、そういうVCさんが絶対に必要なんですよね。そういう方々がいるからこそ「株主さんたちはこんなに信用してくれて任せてくれている上に、こんなに汗もかいてくれているのだから、僕らは絶対にそれに報いるように、全力で結果を出さなきゃいけないんだ」という良いコミットメントを引き出せるのだと思うのですね。これはフェムト磯崎哲也さんが身をもって教えてくれた、実に大切な関係性だと思っています。
 
そして僕らは、今後もそんな形で投資家の方々との前向きな関係性を築いていきたいと思いました。なので、わがままと言われても、それを理解していただけないと感じられたVCさんからの投資はお断りしたこともありました。
 
WiLさんはそんな中で、ずっと一貫して僕らのサービスの価値を認めてくれて、出資の交渉を続けてくれたVCさんでした。トレタの価値を認めた上で、もっとアップサイドを大きくするためにはどうしたらいいんだ?どういう戦略でどういう展開をしていけばいいんだ?というディスカッションの場を設けてくれたのは、WiLさんだけでした。もちろん、経営の自主性や主体性もきちんと認めてくれています。
そういうわけで、トレタを育てていくパートナーとしてWiLさんの力を借りまくって、外食文化を支えるようなサービスを作り上げていきたいと思った次第です。
 
 
【吉田健吾のジョインについて】
増資の交渉とタイミングを合わせるように、素晴らしい出会いがありました。
GMOペパボ常務取締役の吉田健吾です。
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彼がたまたま僕のFacebookの投稿に「いいね!」してくれたのを見逃さず、僕から速攻で友達申請を送り、アポイントをとり、酒をがぶがぶ飲ませて、肉を腹一杯食わせて、無理矢理口説き落としました。ウチ以外にも魅力的な会社から数え切れないほどのオファーがあったであろう中から敢えてトレタを選んでくれたのは、僥倖以外の何ものでもないと思っています。(きっかけを与えてくれたおがさんに深く深く感謝。足向けて寝れません)
 
トレタは、飲食店の現場やそこで働く人たちの気持ちを、誰よりも深く理解している会社を目指しています。そうでなければ、飲食店で最も大切なデータをお預かりする「信頼される会社」になる資格はないと思うからです。
では、飲食店のみなさんからの信用を得るために、我々の会社は、サービスは、どうあるべきなのか?
確かに僕にはこれまで自ら飲食店を経営してきた経験があります。今まではその事実や体験に寄りかかってトレタの価値を作り出してくることができたかもしれませんが、しかしその限られた経験だけでは力不足になる日が、そう遠くないうちに必ずやってきます。
ペパボでレンタルサーバーホスティング事業を育ててきた吉田の経験は、まさにトレタがこれから「信頼されるサービス」としてより大きく成長するために不可欠なものだと考えています。
これまで彼とは何度も話をして、深いところで同じ価値観を共有できるパートナーであることは間違いないと確信しています。これからは同じビジョンや思いを共有し、二人三脚で会社の戦闘力向上を目指していきたいと思います。
 
 
【これからのトレタ】
トレタは現在「予約台帳アプリ」として展開していますが、もとよりそれで終わるつもりはありません。その目指すところを詳しく説明すると「えー、そんな大きいことを考えてたんだ!」と驚かれることが少なくありません。
あまり語りすぎるとマイナスの影響が大きすぎると釘を刺されていますので、あまり多くをここで語ることはできないのですが、僕らはトレタは単なる予約管理ツールにとどまることなく、インフラのようなサービスを志向して育てていきたいと思っています。
幸いなことに、ここまで本当に素晴らしい仲間に恵まれ、お客様に恵まれ、毎日楽しくやりがいのある仕事をさせていただいています。吉田を筆頭に、能力と経験に恵まれた、そして何より人柄のよいメンバーもこれから続々入社が決まっています。(ウチは人柄採用なのです)
ここまで順調にサービスがリリースできて、理想的なチームビルディングができて、またさらに前へ前へと戦いを進めていける資格をもらえたのは、株主の皆さんや内外の素晴らしい仲間たちが陰に日向に経営を支えてきてくれたからでもあると思っています。
WiLという心強い株主と、吉田という素晴らしいパートナーを得て、トレタはまた先に進んでいきたいと思います。
 
これからのトレタに是非ご期待下さい。
素敵な会社と素敵なサービスを作ります!
 
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※トレタでは、まだまだ仲間を絶賛募集中です。引き続き身の丈以上の採用をしていきたいと思っておりますので、ご興味のある方は是非ご連絡ください!→ info [at] toreta.in

顧客志向について

 
最近、寝付きが悪かったり、なぜか精神的に落ち着かないことが多くなったのですよね。で、なぜか考えたんです。そしたら一つのことに気づきました。
以前より、「競合サービス」を気にすることが増えてたんです。
 
確かに、最近は競合のことを意識する場面が少なくありません。
資金調達とかアライアンスの交渉の中では当然競合について聞かれますし、セールスチームも営業先で競合の名前を耳にすることが増えていると言います。
営業先で「トレタさんはうちに比べたらまだ始まって間もないサービスですから、そのうち絶対にトラブルが起きますよ」なんて競合さんが話しているとか聞いたら、そりゃ心穏やかではいられません。
競合さんの間では合従連衡も進んでいますので、そういう噂話だってイヤでも耳に入ってきます。
 
でもね、これってほんと良くないと思うんです。事業に取り組む上で、競合の話ってほんとに「ノイズ」でしかないと思うんです。
 
そういうわけで、今回は自らへの戒めを込めて「顧客志向」についてです。
 
★★★
 
思うに、やっぱり会社ってのは「顧客>競合」という文化を徹底してすり込まないといけないと思うのですよね。なぜかというと、「対顧客」であれば自分たちの力でどうにでもできるけれど、「対競合」では自分たちがコントロールできることはほとんどないから。そして、競合を意識していてもお客様に提供する価値を高めることには繋がらないから。
 
お客様から「こういう機能が欲しい」「使いづらい」「価格が高い」という声があるなら、それは僕らのがんばりでどうにでも解決できます。機能を追加や改善するも良し、価格を下げるも良し、万が一どちらもできなくても、お客様にしっかり説明したりサポートすることで、納得してもらうことだってできるかもしれません。
一方で、競合がどういう機能を開発するかとか、どういう価格戦略なのか、どういう売り方をするかを知っても、僕らにそれを止めたり変えさせたりすることはできません。そりゃ、対抗して価格を下げるとか、機能を追加するとかは可能かもしれませんが、競合がさらに価格を下げてくる可能性もあるわけで、最終的には果てしないチキンレースをすることになります。
 
競合を意識した瞬間に、自分たちの力ではコントロールできない要素が増えすぎて、何をやっても精神的な落ちつきや手応えを得ることはできなくなるんですよね。
お客様に対して自社サービスが価値を提供できているか、役に立てているのか、という視点で見ていれば、少なくとも自分たちの歩み方は間違っていないと思えるかもしれないし、もっとポジティブに改善へのモチベーションを得られるはずなのに、本当に勿体ない話です。
 
僕らは何のためにサービスを作り、運営しているかと言えば、それはただ一つ「お客様の問題を解決して、ハッピーになってもらうため」以外の何ものでもありません。
その目的でスタートしたはずなのに、いつしか「ライバルに勝つため」に目標が変わってしまうことがあるんですよね。その変化は、あまりにゆっくりと、あまりに少しずつ、あまりに違和感なく進んでいくので、自分たちも気づかないことが多い。
結果として、顧客視点を忘れて、お客様不在の不毛な競争を繰り広げることになってしまうというわけです。
競合と張り合うのではなくて、顧客により高い価値を提供することが仕事の本来の目的なのですから、自分たちの課題に集中し、改善や改革に全力を注がなければ、結局はライバルとの競争にだって勝てなくなってしまいます。
 
こういうことは、飲食店でもよく見聞きしました。
もともとは、お客様においしいご飯を提供したいという純粋な思いで始めたお店だったのに、自店が苦戦している一方で、隣のお店が大繁盛しているのを見ると、だんだん原点を見失い始めます。そして中には「隣が暇になればウチが儲かるんじゃないか」と誤解して、隣のお店に対して営業妨害するお店が現れたりします。クチコミサイトに誹謗を書き込んだり、架空の予約を入れて無断キャンセルしたり、最悪の場合では店頭に積んである仕入れ食材に異物を仕込んだりというケースも聞いたことがあります。
でも、それをやったからといって自分たちのお店が繁盛することは絶対にないんですよね。むしろ、そういうことをやるような意識のお店はどんどんクオリティが下がって、結局自滅することがほとんどです。
 
で、そうならないための杖になるのが「顧客志向」だと思うのです。
 
競合との戦いに夢中になってしまうと、「機能追加合戦」となることがあります。
あっちのサービスにはこんな機能があるんだから、ウチだって追加すべきだ!商談でも「おたくは機能が少ないね」って言われたから、これは最重要課題なんだ!と。
でもこうして競合しか見えなくなってしまうと、顧客の求めていない不要な機能を次々に追加して、画面がボタンだらけになり、結果として誰も得をしない「使いづらい機能の化け物」のようなサービスになってしまう可能性もあるのですね。
顧客をハッピーにするためには、敢えて機能を削った方が良いこともあります。でもそれは必死に顧客を見て考えているからこそできることであって、競合に気を取られていたら絶対に決断できないでしょう。
 
もちろん、一方で「競争相手がいるからこそサービスが良くなり、市場が拡大する」という面があるのも事実です。その場合は、競合と「健全に戦っている」ことが前提になるのでして、どちらがお客様の心を掴むことができるか、どちらがよりお客様に多くの価値を提供できているか、で競っているからなのですよね。やっぱり競争するならそうありたいし、こちらもそういう戦い方をしたいと思っています。
 
★★★
 
世界で最も「顧客志向」の強い会社の一つにアマゾンがあります。アマゾンの話は書籍にも詳しいのですが、ベゾスは競合について語ることは一切ないそうです。「中の人」から漏れ伝わってくる限りでも「お客様の利益のためには、社員が犠牲になってもやむなし」みたいなところまでその文化を突き詰めているような印象を受けています。
結果として、アマゾンはその姿勢がぶれることなく一貫して成長を続け、競合はそれに全く対抗すらできずに敗退している状況となっています。
 
アマゾンは「可能な限り利益を出さず、全てを成長につぎ込んでいる」とか「一円でも税金を減らそうとしている」、だから強いのだ、という論調をよく見かけますが、ベゾスの発想の原点は多分そこじゃないんだと思うんですね。おそらく、彼らは利益が出るならその利益分を全て顧客に還元することで、圧倒的な顧客の支持をより盤石なものにしようと考えているんじゃないかと思うのです。
ということで、本を読む時間がない方は、まずはこの記事を見るだけでも。
http://narumi.blog.jp/archives/2140984.html「競合を見るな。顧客を見ろ」--Amazonの徹底した顧客志向に関するベゾスのインタビューが超よかった : blog @narumi
 
★★★
 
顧客志向を徹底するのは、口で言うほど簡単なことじゃありません。
気をつけているつもりでも、ほんの些細なところから顧客志向がぶれ始めることがあって、やっぱり気をつけて口酸っぱく言い続けないといけません。そういう意味でも、アマゾンの徹底ぶりは非常に参考になります。やっぱりあそこまで徹底するからこそできることもあるんですよね。
 
それに引き替え、自分たちときたら…
そんな反省を踏まえて、まずは僕は商談の都度、プレゼン資料を必ず毎回作り替えることにしました。
プレゼン資料を「自分たちのことを説明するための資料」だと定義すれば、説明都度を作り替える理由も意義もありません。でも「商談とはお客様の会社の問題を解決するための場である」と考えたら、全く話は変わります。会社が違えば課題は千差万別なのですから、お客様の課題に応じて、その内容は毎回変わってしかるべきです。
顧客の課題そっちのけで自分たちのサービスのアピールに終始しているようでは、そもそも顧客志向なんて望むべくもないんですよね。
 
 
よければ、ちょうど弊社経営企画の吉島もこんなことを書いていますので、どうぞお読み頂ければ。
https://note.mu/yoshijima/n/n2a7112738632

トレタというサービスが目指すもの

 
すでにいろいろな媒体でも、トレタの機能やサービスの概要について取り上げていただいていますので、興味のある方はある程度ご理解いただけているかもしれません。
が、そこからさらに踏み込んで、トレタはどういう考え方に基づいて企画され、最終的にどういう世界を作ろうとしているかについては、まだ僕自身、それほど多くを語れていないと思いました。
 
まあね、過去のサービスに比べると地味だし、想定しているユーザーさんも限られてるしね、だからまあ公に何かを述べるというより、お会いする一人一人の飲食店の方々に丁寧に語れればいいかと思っていた部分もあるのですが、でも求人が始まったりしていますし、アライアンスのお話も頂いたりするので、やはりもう少しきちんと広く考えを表明した方がよいかと思い直した次第です。
 
そこで今回のエントリーでは、僕自身の考え方と併せて、もう少し概念的なところでトレタをご説明したいと思います。
 
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【トレタと過去のサービスとの共通点】
 
僕自身も最近認識したのですが、じつは僕が企画して開発されたサービスには、一つの共通点があるのですよね。
それは「断片化され、散在してしまっている『何か』を一つのところに集約し、定型化し、蓄積し、共有していくと、新しい価値が生まれるのではないか」という考え方です。
 
知る人ぞ知る幻のサービス「kizna」は、いくつものSNSやコミュニケーションメディアにまたがって断片化してしまっている会話を一つのタイムラインにまとめて、同時に一貫されたタグや属性を付与していくことで文脈を与え、相手との関係性をより充実させていくことを目指していました。結局リリースできなかったけどw
 
料理写真共有サービス「ミイル」は、一人一人のスマホやデジカメの中に散在したまま役目を終えてしまう食べ物の写真を一カ所に集めることで、「お客様が撮影してくれた料理写真」という新しい資産を飲食店に作りだそうとしていました。
同時に「朝ご飯も、ランチも、晩ご飯も」「家の手料理も、外食も、お弁当も、出前も」という観点で、これまで断片化されてしまっていた食のログを一つにまとめることで、今まで見えてこなかった「食生活」や「食文化」「食のトレンド」を見える化し、新たな価値を作り出そうとも考えていました。
 
そしてトレタも、まさにその考え方に基づいたサービスになっています。トレタは、「紙の台帳によって散逸したまま役割を終えている予約情報を一カ所にまとめ、定型化し、蓄積し、共有することによって、新しい価値を創造する=お店とお客様の関係性を改善するツールを提供する」ことを最終的な目標としているのです。
 
 
【なぜトレタが必要なのか】
 
今や、飲食店を予約する媒体は、数年前に比べると爆発的に増えています。以前は電話だけが唯一の予約手段だったのに、今ではメール、ツイッターFacebook、LINE、ぐるなび食べログ、OpenTable、一休、Ozmallと、数え切れないほどの媒体から予約が入ってくるようになってしまいました。
しかも、いつもは電話で予約していた人がツイッターで予約してきたり、メールで予約してきたりと、同じ人が毎回必ず同じ媒体から予約をしてくるとは限りません。
現場の予約担当者は、それらに全て目を通し、漏れのないように細心の注意で予約を管理していますが、できることには限りがあります。ミスだって日常茶飯事です。
 
また、大規模なお店になれば、お客様の情報をスタッフ間で共有することも困難です。 初回来店はスタッフのAさんが接客したけれど、2回目の時はBさんが担当したとしたら、その二名の間でお客様の情報を共有することは現実的には不可能です。結果、Bさんはそのお客様を「初回来店のお客様である」と誤解して接客することになってしまいます。せっかくのリピーターさんなのに、そこで「先日はありがとうございました」と言えないことは、お店にとっては大変な機会損失ですよね。
あるいはチェーン店を見てみれば、渋谷本店と恵比寿店、そのどちらにも通ってくれているお客様がいるとしても、その方が両方のお店を利用してくれていることを把握するすべはほとんどありません。「いつも渋谷本店だけじゃなくて、恵比寿店もご利用頂いてるんですね!ありがとうございます!」というひとことが言えるか言えないか。
これも、常連さまのロイヤルティ向上の観点から考えれば、実にもったいない話です。
 
そこで、この種の問題を一気に解決し、お店とお客様の関係性を正しく把握し、それを全てのスタッフが簡単に利用できるようにするために、僕たちはトレタをリリースしたというわけです。
具体的には、多種多様な予約をきちんと全て受け止め、どんな手段でどの支店の予約を受けたとしてもその全てを自動的名寄せし、顧客管理と連動させて正しく「常連度」を把握できるようにして接客の担当者にその情報をタイムリーに提供し、一方で予約管理の負担を少しでも軽減すること。
トレタの機能は、それを実現することを目標に設計されています。
 
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【全ての予約情報をデータ化することに対する執念】
 
全ての予約をデータ化してクラウドに一括保存すること。それによって、前述のようなソリューションが提供可能になります。逆に言えば、それができなければ、飲食業界では永遠にCRMは実現できないままでしょう。
だからこそ、僕らはトレタで「一つ残らず全ての予約をデータ化する」ことにこだわってきました。
 
それを阻む最大の敵は何か。そう、「電話」です。
電話は、アナログデータの駆逐を困難にしている最大の要因です。
電話予約では臨機応変で手際の良い対応が求められます。だから自ずと「キーボードではなく紙の方が素早く対応できる」となりますし、紙にはお客様の検索機能がありませんから「お客様のことを覚えている担当者しか予約対応できない」ということになります。
今の飲食業界で、いまだに9割を超えるほぼ全てのお店が紙の台帳で予約を管理していること。そして、その予約はマネージャークラスのスタッフしか担当できないことは、まさに電話にきちんと対応するためなのですね。
 
ですから、僕らはそこをいかにして乗り越えるかに全ての努力を注ぎ込んでトレタを開発してきました。全ての予約を「ウェブ予約」に移行できる時代は、まだまだ先です。電話の予約は、まだここから先しばらくは残り続けるでしょう。僕らがウェブ予約をテーマにせず、あくまでも「予約管理」や「予約台帳」にこだわっているのは、電話も含めて全ての予約をきちんと受け止めることが、喫緊の課題だと考えているからです。
 

  • 録音機能があって、予約対応時の担当者の発言を余さず記録できること。
  • 手書き機能によって、キーボードを使わなくても予約の内容をメモできること。
  • ウェブではなくアプリの形式で提供することによって、待つことなくサクサク使えること。
  • アプリであることによって、押し間違えづらく迷わない、最高の操作感を実現できること。

 
こういったトレタの特徴は多くのお店ですでに高く評価されていますが、それは単なる「既存の業務系ツールに対するアンチテーゼ」ではなく、「電話予約も含めた全ての予約情報を、容易にクラウドに取り込む」ことを可能にするためなのです。
 
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【トレタが最終的に目指しているところ】
 
そういうわけで、トレタは電話やSNSからウェブ予約に至るまでの全ての予約を受け止めて交通整理をしつつ、飲食店に対して「常連さま情報」や「常連さま予備軍情報」「需要予測」といった、何より重要なマーケティングデータを提供できるインフラになることを目指しています。
もちろん、予約にまつわる手間をこれまでの数分の1に圧縮しながら、です。
 
ありとあらゆる予約情報が全て一元管理され、体系だって蓄積され、自由な活用が可能になると、今までできなかった様々な活動が可能になるはずです。
それは言ってみれば、「お客様一人一人とお店との物語」を見えるものにしていくということなのかもしれません。 お店と出会い、気に入って通うようになり、お店の人と仲良くなり、そしてやがて飽きたり引っ越しをしたりして疎遠になっていく。あるいはまた何かをきっかけにして再び通ってくれるようになる。そんな、お店とお客様との関係性の移り変わりを見える化したら、お店とお客様の関係はもっと豊かになるのではないかと思っています。
それが可能になったとき、飲食店の営業のあり方は根本から変わるのではないか。そんな夢を抱きながら、コツコツと使い勝手を改善してきたいと思っています。
 
ということで、そんな仕事を一緒にしてみたいかもという方や、そういう会社と組んで何か仕掛けようぜという企業さんなどがいらっしゃいましたら、いつでも気楽にご連絡いただければ幸いです!
皆さんからのご連絡を心より、三つ指ついてお待ちしております m(_ _)m
iOSエンジニアさんの求人はこちらから。
それ以外の職種の方は hitoshi [at] toreta.in までメールでどうぞ!
 
 
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http://toreta.in
 

新サービス「トレタ」を正式リリースしました

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本日、株式会社トレタから新しいサービス「トレタ」のアプリがリリースされました。iOS7以降を搭載しているiPad専用のアプリとして、AppStoreで配布を開始しております。弊社サイトでユーザー登録のうえアプリをDLいただければ、一ヶ月間は無料で試用が可能となっておりますので、是非お試しください。
と言いながら、実はこのアプリは飲食店向けのサービスとなっており、一般のエンドユーザーさんが入手されても全く役には立たないかと思います。「ミイルの次になにやるの?」と楽しみにしていただいた方、本当に申し訳ありません。せめて、ぜひお知り合いのお店にご紹介いただければ幸いです。(^^)
 
 
◆トレタは予約のサービスです
ミイルはエンドユーザーさん向けのサービスでしたが、今回は100%ピュアなBtoBサービスとして企画・開発を行ってきました。対象はもちろん飲食店です。
動機は極めて単純です。僕自身が豚組を初めとした飲食店で長く現場に立ってきて、そこで多くの非効率や課題を目の当たりにしてきたからです。その時に抱いた問題意識やフラストレーションは、Twitterで豚組が取り上げられた時期も、ミイルを手掛けていた頃も決して消えることはなく、ずっとずっと僕の中で燻っていました。そして数年の構想期間を経て、自らそれを解決することに挑戦したのがトレタなのです。
トレタが解決を目指す課題。それは「予約」です。
 
 
◆予約の何が問題なのか
豚組も含め、飲食店での予約管理は紙の台帳を使っているところがほとんどです。
しかし、紙で管理をしている限り、そこには常に人為的なミスが付きものです。書き間違い。聞き間違い。勘違い。記入漏れ。字がきたなくて読めない、などなど。
予約は、お店にとって最も重要な情報です。ここでミスがあったらそのお客様は二度とお店に来てくれなくなるくらい重要なのに、その管理がこんなにミスの起きやすい状態のまま放置されていてよいのでしょうか?
実際、僕も豚組では何度も背筋の凍るような失敗をしました。接待でご予約したお客様が来店したのに、台帳にその予約が見つからない。慌てて別の席を用意しようにも、満席のためにどの席にもご案内できない。目の前にいるお客様は不安げにこちらの対応を待ちながら、その目はやがて不安から怒りに変わっていく。
そんな経験を何度もして、そして感じたことは「こんな体験は二度としたくない」そして「こういうトラブルが飲食業界の至る所で毎日繰り返されているのは、あまりに不幸なんじゃないか?」ということです。
一方で、時代はまさにウェブ予約の本格的普及期に入ろうとしていて、予約にまつわる現場の手間は爆発的に増加しようとしています(皆さんは知らないかもしれませんが、紙台帳のままウェブ予約に対応しようとすると、現場ではすごく手間がかかるんですよ)。これをこのまま放置しておけば、僕のあの恐怖体験は、これからますますあちこちのお店で激増していくことになりかねない。
やるなら今しかない。これを今解決しないことには、本来は可能性に満ちた「ウェブ予約」が、逆にお店もお客様も不幸にする鬼っ子になってしまうかもしれない。
それが、僕らがこのサービスを手がけることにした一番根っこの動機です。
 
 
◆なぜ僕らがそれを作るのか
でも、すでに世の中には予約管理のASP的サービスはいくつもあります。なぜそれらではダメなのか。なぜ僕らがそれをやらなければいけないのか。どうして豚組でもそういう既存のサービスを導入せずに、今からわざわざ自分でそれを作ろうとしているのか。
それは一言でいえば「現場にとって理想的なものが必要」だと思ったからです。
残念なことに、既存のあらゆる飲食店向けの業務ツールは、現場を知らない人たちが作っていることがほとんどです。現場にどういう人たちがいるかを知り、彼らと思いを共有し、現場のオペレーションを肌で理解し、そこに何十年も横たわっている根本的な問題を正しいアプローチで解決すること。それができているベンダーさんはほとんどいないのが現状です。
そんな現場を知らないベンダーさんたちが考える「合理性」は、必ずしも現場にとっても合理的とは限りません。そんなシステムが導入されてしまったら、結局のところ、ベンダーの現場に対する不理解を、回り回ってそれを日々利用する現場の人たちが尻ぬぐいすることにしかなりません。
だから、僕たちが「そうでないもの」を作ろうと思いました。現場を知っている人が作れば、システムって本来はこういうカタチになるはずでしょ?というものを徹底して追求してみよう。いわば、飲食店の作る、飲食店のための業務ツール。それを誰もやってくれないならば自分たちでやってみようというわけです。
 
 
◆トレタは何を目指すのか
そういうわけで、トレタはまずは飲食店の予約周りの問題をまるっと解決するサービスを目指します。
最初に実現するのは、電話もウェブもツイッターもメールも含め、全ての予約が一元管理できる「予約管理のインフラ」と、それを裏側で支える「顧客管理DB」です。
まずは大手から個人店に至るまで、ありとあらゆる規模/業態のお店で、予約のミスやトラブルを徹底的に追放する機能を提供します。たとえば、予約の対応を録音したり、手書き機能やカメラ機能によってメモを一元管理したり、SMSを使って予約の確認ができたり。そのほかにも配席を劇的に効率化する様々な機能によって、たとえウェブ予約を扱わない店舗でも、トレタの導入によって予約の現場は劇的に改善するはずです。予約管理ASPは他にもあれど、iPadのネイティブアプリで提供しているのはトレタだけです。ネイティブならではの使い勝手や機能で、全てのお店にテクノロジーの恩恵を届けたいと思います。
 
こうして諸問題を解決したその次のステップでは、「サービスの向上を実現するプラットフォーム」を実現します。たとえば、あるレストランを一人の中村仁という人間が予約したならば、それが電話経由だろうがウェブ経由だろうがツイッター経由だろうが、それを全て同一人物からの予約だと認識し、いつもの要望や好みをきちんと正しく提供できるようにすること。初回来店のお客様と二回目来店の方をきちんと見分けて、それぞれのお客様に対してふさわしい対応ができるようにすること。初来店のお客様にクーポン特典をだすことばかりに予算を使わずに、常連さまなどに対してもっときちんと還元できるような仕組みを提供すること。
こういった「お店の魅力を高める活動を裏側で支えるツール」を作ることで元気で個性的なお店が増え、結果として食文化がもっともっと豊かになっていくこと。それこそが、トレタのミッションであると考えています。
 
 
◆トレタは他の業務系ツールとなにが違うのか
トレタの最大の強みであり、競合他社に対する最大の差別化は、その「使い勝手」にあると考えています。これまでの開発の数ヶ月間は、その大半が「使い勝手の向上」に費やされてきたといっても過言ではありません。他社が軒並みブラウザベースのマルチプラットフォームを売りにしているのを尻目に、あくまでもiPad専用のネイティブアプリにこだわって開発をしてきたのも、まさに極限まで使い勝手を高めるため、その一点のためでした。
実際、競合する他社と比べれば、トレタは「機能の豊富さ」ではかないません。他社ではできる多くのことが、現在のトレタではできません。
しかしそれでも、サービスリリース前から、他社からトレタに乗り換えを決めてくれるお店や、今までこの手のツールに全く手を出していなかったお店での採用ケースがどんどん増えてきているのは、まさに僕らの考えが現場の皆さんに受け入れられている証拠なのだろうと思っています。「どんなに高機能でも、使いこなせなかったら意味ないからねー」そんな声に本当に元気づけられてきて、今日の僕らがあります。
 
実はすでに豚組しゃぶ庵では先行的にトレタが実戦投入されており、導入から今日で約二週間が経つのですが、社長の国吉から「実は、事前に現場担当者に全くトレーニングの時間を与えることができないまま、いきなり12月の繁忙期でありながらトレタを本格稼働させてしまったのですが、3〜4件の予約をこなすだけで、あっという間に全員がトレタを使えるようになってしまいました。正直驚きました」という感想をもらいました。
その無謀な導入プロセスの是非はさておきw、そう、その導入へのハードルの低さと、習熟への距離の短さこそが、トレタの目指したものなのです。
 
僕らは、トレタ開発にあたり「BtoBのツールにこそユーザーエクスペリエンスが重要なのだ」という方針を掲げています。ビジネスの現場で使うツールだからこそ、その使い勝手の善し悪しは全てコストになって跳ね返ってくるのです。使いづらければ、それはすべて教育コストやオペレーションコストという形で導入企業がその費用を負担することになってしまいます。
だからこそ、僕らはUIの設計に一番の時間と手間をかけ、コンシューマーアプリ以上に使いやすい業務アプリを作ろうと努力してきました。
いまこうして、多くの飲食店の方々に「こういうのを待ってたんですよ!」と言ってもらえるアプリとしてリリースできたことを、iOSエンジニアのCHEEBOWさん、デザイナーの山本麻美さん、サーバーサイドの沢田さん、エアフロントの飯塚さん、加速装置の浅利さん、CTOの増井さんに深く深く感謝したいと思います。
みんなのおかげで、飲食店向けの業務ツールとしての新しいスタンダードみたいなものを提案できたんじゃないかな!
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◆これからが本番です
おかげさまでトレタはとても順調なスタートが切れました。それは開発だけでなく、マーケの竹内さん・小林さん・いしたにさんワンパクの山口さん&近藤さんのがんばりのおかげでもあります。管理部門を一人で丸ごと仕切ってくれている吉島さん。そしてリリース前にも関わらずテレアポから飛び込みまでを積極的にこなしてくれている営業の鈴木さんと油田さんと三田さんのおかげで、すでに多くのお客様にも恵まれています。
早い時期に投資を決めていただいた磯崎さんと曽我さんも、これまで不安も大きかったと思いますが、じっと信じて任せていただいてありがとうございました。
今日こうしてサービスがスタートできたのは、トレタに関わるみんな一人一人の献身的な協力があったからだと思っています。本当にありがとうございました。
 
来年には、また強力なメンバーの加入も決まっています。
これからは競合との競争もどんどん激しくなると思いますが、それに負けず、自分たちの理想を追求して前へ前へ進んでいきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします!
 
  
 

資本性ローンというものを利用してみました

 
株式会社トレタでは、すでに設立直後に1億円をフェムトグロースキャピタルさんおよびフェムト・スタートアップから調達しているのですが、事業計画上は来年夏頃に手元キャッシュがタイトになることが見込まれていること、そして営業的な要請から開発を前倒ししたい状況になったことなどを踏まえ、追加で資金を確保することになりました。
 
当初はいくつかのVCさんにも相談をしていて、投資に前向きな反応もいただけたりしていたのですが、サービス立ち上げ時点ではまだバリュエーションもあまり高くなるはずもなく、結果的に多めの株式シェアを覚悟しなければならなくなることを考えて、別の方法を選択しました。
借り入れです。
 
★★★
 
なんとなくスタートアップでは、エクイティで調達する方がデットよりも優れている的な認識があるように思えるのですが、いやいや、僕なりに経験したり見聞きした限りでは、必ずしもそんなことはないと思っています。
資本と借り入れでは、それぞれの調達コストがどういう形で発生し、どういうメリットとデメリットがあるかを客観的に判断して、ベターな方を選択した方が良いと思うのです。特に、借り入れなら返せばいいわけですけども、資本の場合は後戻りできません。お金を返すので株式を買い取らせてください、と言ってもそれはほぼ不可能です。第三者割当でがんがん資金を調達したはいいけれど、なんでこうなった!こんなはずじゃなかったのに!みたいなことにならないためにも、借り入れも一つの選択肢として常に頭の片隅にでも置いておいた方が良いのではないかと感じています。
 
ということで、トレタの大株主、フェムトの磯崎さんとも相談した結果、日本政策金融公庫の「資本性ローン」なるものを利用することにしました。磯崎さんはその著書

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
からもわかるように、一貫して「ベンチャーは融資ではなく資本で資金調達すべき」と説いている方で、僕もそれに全面的に賛成な訳ですけれど、でも今回はその前提を踏まえて考えても、デメリットよりメリットが大きいと判断しました。
 
この資本性ローン、僕も実は最近まで全く存在を知らず、磯崎さんから教えてもらって初めて知ったのですけれど、以下のような特徴があります。

  • 無担保無保証人で借りられること
  • 借り入れでなく資本として見なされること
  • 借入期間は金利のみの返済で、金利は毎年の会社の業績によって三段階で変動すること

 
簡単にそれぞれ説明してみましょう。
 
 
◆無担保無保証人で借りられること
スタートアップでは「可能な限り借り入れを避けて、できるだけ資本として資金を集めた方が良い」という話になりやすいのは、まさに「代表者の連帯保証」にあるのではないでしょうか。僕も会社の代表者の一人として、やはり融資に個人保証を付けるのは「きつい」と思うことが少なくありません。飲食店のような堅い日銭商売ですらそうなのですから、スタートアップのようなリスクの大きい事業に挑戦する場合はなおさらです。そしてその個人保証の存在によって、攻めるところが攻めきれなくなったりしては本末転倒。だからこそ、ベンチャーはできる限り融資に頼るなという話になるわけですね。
僕の経験で言えば、一般的な融資では、無担保はともかく無保証人で借りられることは滅多にありません。もちろん、都や国の特別な制度融資を利用すると無保証人で融資を受けられることもありますが、まあネット系のスタートアップではレアでしょう。
しかし、この資本性ローンだったら担保も保証人も不要です。しかも、万が一会社が倒産したときには、他の借り入れに劣後するという条件になっています。これならば、融資を受けても「攻める」姿勢を保てるというものです。魅力的ですよね。
 
◆借り入れでなく資本として見なされること
この制度では、融資実行の際に「資本性ローンである」ことの証明書が発行されます。そこには、金融検査マニュアル上資本と見なせる条件を満たしていることが明記されています。つまり、この融資は「負債」でなく「資本」として見なされるので、今後また新たに金融機関から借り入れをしたいとなったときに、非常に有利になる可能性があるというわけです。
「資本性ローン」と謳っているくらいですからこれが目玉の制度ではあるのですが、ただ、実際のところ、ウチのようなスタートアップではこの点はあまり意味が無いかもしれません。というのは、スタートアップが大きな資金を調達して攻めようとするときは、「まだ全然信用がない」ステージであることが大半だからです。負債だろうが資本だろうが、それ以前の問題として銀行からは融資を受けられない可能性が高いでしょう。結局のところ、スタートアップの資金調達はVCさんから、というのが王道であることは間違いありません。
ちなみに、借入期間は7年以上なのですが、残存期間が5年を切ると、毎年20%ずつ「負債」として見なされる割合が上がっていきます。残存期間が2年未満になると、80%が負債として、20%が資本として分類されることになります。
 
◆金利が会社の業績と連動すること
これもなかなかユニークな仕組みだと思います。というか、この点こそが、ウチの会社にとっては最も魅力的でした。
借入期間は、基本的に元本の返済はなく、金利だけを毎年支払っていくことになりますが、その金利は、会社の償却前利益に応じて決定される仕組みとなっているのです。
その金利には三段階あって

  • A判定(償却前利益率が5%超):年8.55%
  • B判定(償却前利益率が0%以上5%以下):年4.75%
  • C判定(償却前利益率が0%未満):年0.90%

となっています。つまり、利益が出ているとかなり高めの金利を支払うことになるのですが、逆に赤字の場合はほとんど金利を支払う必要はないということになります。
これも、会社経営上、特にスタートアップの特性を考えると納得性が高いのではないでしょうか。
事業の立ち上げ期は赤字になる可能性が高いわけで、つまり事業が軌道に乗るまではほとんど金利負担が発生しないことになります。限りなくゼロに近いコストで借り入れができるのですね。逆に、(売上や利益の絶対額にもよりますが)きちんと利益が出始めたなら年8.55%の金利くらいは無理なく払えるでしょう。2,000万円の融資だったら、年171万円の返済です。
 
 
★★★
 
以上、簡単に特徴をご紹介しましたが、この融資であれば、少なくとも現在のステージでは第三者割当よりも調達コストはかなり低く押さえられるのではないかと思いました。
もちろん、この判断はビジネスモデルや会社のステージによっても変わるでしょう。まだマネタイズが見えていないサービスや、将来の売上が読みづらいモデルでは、そうはいっても融資にはそれなりのリスクがあるのも事実です。
実際、今回の融資を受けるにあたっての審査でも、トレタの事業モデルやマーケット規模、営業状況、将来の収益見通しなどについて、かなり突っ込んだ質問を受けたのが印象的でした。過去、飲食店出店のために融資を受けた際の審査では、なかなかそこまでの質問はなかったと記憶しています。
もちろん、とはいえ融資と投資では見るところが全く違います。「すごく儲かっているバラ色の計画は不要です。それより、下振れ中の下振れを想定して、それでもきちんと返済できると確信を持てるような計画になっていますか?」という点が最重要視されるのは、一般的な融資と変わらないのですけれど。
 
トレタは月額課金モデルなので着実に売上が積み上がっていくこと。そして解決する課題がはっきりしている法人向けサービスであり、それに対して一定のニーズが存在することが明確という特徴があるので、この手の融資とは相性が良かったというのは事実だと思います。
そういうわけで、サービスローンチ直後の資金ニーズは融資で乗り切り、サービスが軌道に乗って「攻め」が必要となったタイミングで改めて高めのバリュエーションで第三者割当、というやり方で、今回は進めてみたいと思ったのでした。
 
実際、すでに融資は実行されて口座にも着金しているのですが、VCさんから資金調達するのと比べると、提出書類の量にしても僕自身の手間にしても、融資の方が圧倒的に負担が軽かったわけでして、サービス立ち上げ時に事業に専念しやすいという点でも、融資には融資の魅力があるよなあと思った次第です。(つまりはこういうことも調達コストの一部なんですよね)
 
 
そういうわけで、事業モデル的に融資と相性がいいかも?と思った方は、とりあえず調べてみるくらいの価値はあるかもしれません、ということで。

新サービス「トレタ」がもうすぐ始まります

7月に創業した株式会社トレタが提供する飲食店向けの新サービス「トレタ」ですが、ついに、ようやく、今月初旬にリリースできそうな運びとなりました。
実はアプリは一ヶ月くらい前からすっかり稼働するようになっているのですが、この一ヶ月は細かい使い勝手のブラッシュアップやバグフィックスなどを重ねてきました。その甲斐あって、日に日に便利で使いやすいアプリになってきていることを実感しています。わがままなお願いにも快く対応してくれているチームのみなさんに、深く深く深く深く深く感謝しております。
 
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★★★
 
思えば創業から半年強、多くの方に支えられてなんとかここまでたどり着きました。
社員や外部パートナーという区別なく本当にメンバーにも恵まれ、素晴らしくスキルのあるエンジニアやデザイナー、使命感に燃えた営業やマーケなどが集まってくれて、毎日笑い声の絶えない職場を作ることができました。会社に行くのが楽しいなんて、一体いつぶりの感覚でしょう。
営業面でも、いくつもの飲食店さまからすでに「こういうのを待ってました!絶対使います!」という勢いで口頭受注を頂いていますし、「普及させていきましょう!」という心強い言葉をくれるような代理店さまもいくつも内定しました。
 
気がつけば、このトレタという会社は、これまで僕が生きてきたこと、働いてきたことの集大成のようなプロジェクトになっています。
僕のこれまでを振り返ると、電器メーカー → 広告代理店 → 飲食店 → ネット系スタートアップと、とにかくむちゃくちゃな経歴になっています。支離滅裂にもほどがあるってもんです。
ポジションだって、超日本的大企業のサラリーマン、外資系の日本法人社員、フリーランス、中小企業のオーナー社長、VCが出資するスタートアップの社長と、バリエーション多すぎです。あと公務員さえ経験できれば、なんとなくコンプ感すら漂ってきます。
今までは、この経歴は僕にとってコンプレックス以外の何物でも無かったのですが、こうして今考えてみると、その経歴の全てが意味を持っていて、何か一つが欠けても今回のトレタは作り得なかったと思うのです。今まで、「勢い」で多くに挑戦して多くを失敗をしてきましたが、今思えばそれも何一つ無駄になってないんですよね。
 
たくさんの友人もトレタを応援してくれています。今まで勝手なことをやったことも多かったし、決して周りの皆さんの好意に報いることもできていないのですけれど、それでもこうして暖かく応援を申し出てくれる人がこれほど身の回りにいるなんて。こんなに幸せなことはありません。
 
ということで、ローンチの前ではありますが、いや、ローンチ前の静かな凪の今だからこそ、改めて皆さんに御礼をお伝えしておきたいと思った次第です。これまで、本当にありがとうございました。
このご恩は、会社の成長と、食文化の発展に大きく貢献するようなサービスを作り上げることで、必ずや皆さんに報いたいと思っております。
 
★★★
 
いよいよ、サービスインまであと少し。
今回の新サービスは多くのエンドユーザーの方に触って頂ける類のものではありませんが、飲食店を支える縁の下の力持ちとしてしっかりと普及させ、やがて間接的に一人でも多くの人たちの食生活を豊かにしていくことに寄与できればと願ってやみません。
ていうかですね、業務系ツールの世界に、飲食店向けツールの世界に、革新を起こしたいんですよ!ぼくは!
 
正直、この7月にまたゼロからのスタートとなってしまい、1〜2年前に同期だと思っていたさまざまなスタートアップの皆さんがどんどんサービスを伸ばしているのを横目で見て、焦りや置いて行かれた感がないわけではありません。でも、今は慌てずじっくりと、改めてこの恵まれたメンバーで、地道に一つ一つコツコツと積み上げていければと思っています。
誰しもいきなり世界を変えることはできませんが、でも多分、目の前の一人一人の小さな問題をきちんと丁寧に解決していってやがてそれが積み重なれば、そのときには世の中を支えるサービスが作れるんだろうと思うんです。
 
そういうわけで、みなさんの応援に報いることのできるようなサービスを目指して頑張ります!
チームのみんなも、引き続きよろしくね!
 
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株式会社トレタ
 
 
あーー、リリース前ってホントにどきどきするわ。
 

【告知】WebSigにお呼ばれしたので、トレタのお披露目をしてきます

まさかこの僕がですよ。まさかWebSigに「講師」として呼ばれるなんて。
生きていると自分でも驚くようなことがあるもんですね。
 
ということで、ふつつかものではございますが、錚々たる講師の方々に紛れ込んで、10月5日 (土)に八王子でお話をさせていただきます。
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WebSig1日学校の詳細はこちら

 
今回のWebSig1日学校のテーマは「Re-design:あたりまえになったWebを考えなおす」とのことで、ウェブが当たり前になった時代に、改めてサービスやツールはどうあるべきかを考える、というのが主題になるのかなと思います。
 
そこで僕も、新会社の新サービス「トレタ」に絡めて、その辺のお話をする予定です。
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ウェブが当たり前の時代になったと言っても、それはまだごく一部の方にとっての話であって、たとえば飲食業界の現場では、まだまだウェブやネットの力を当たり前のように利用できる環境は全く整っていないのですね。
じゃあ、そんな技術の恩恵に浴すことができずにいる「その他大勢」の人たちが、もっと簡単に、もっと手軽に、ウェブやネットを使いこなせるようにするためには、テクノロジーはどうあるべきなんだろう。
本当の意味でウェブが「あたりまえ」になるためには、僕らはどうしたらいいんだろう。
今の技術をどうデザインし、どんな風にパッケージしたら、飲食店が幸せになれる仕組みが作れるんだろう。
たぶん、それを実現するには、今までの業務系ツールの常識をいったん全てリセットして、ゼロベースで「現場のユーザーにとっての使いやすさ」を徹底して追求するアプローチが必要なんだと思うのです。そのときには、今までのBtoBの当たり前は当たり前ではなくなって、全く新しい常識が生まれるのかもしれません。
 
WebSigでは、そんな観点から、僕らが今開発を続けている新サービス「トレタ」をご紹介します。公式にはこれが本邦初公開になるんでしょうかね。
まだ本リリースまではちょっと時間があるのですが、当日は実際に稼働している実物も持参できると思いますので、コンセプト含め、がっつりお披露目させていただきます。
 
なお、勝手ながら当日のセッションの内容は(正式リリースまでは)非公開とさせていただくことになると思いますので、トレタに興味のある方は、是非遊びに来ていただければと幸いです。
 
じゃ、みなさん、八王子でお会いしましょう!