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【レビュー】Panasonic LUMIX GH3は最強の旅&家族カメラだよ!

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前置き。まずはマイクロフォーサーズというかOM-Dについて
 
僕は筋金入りのフォーサーズユーザーです。最近ではオリンパスOM-Dを使っていて、ほとんど大きな不満もなく、むしろ「究極のミラーレスじゃね?」と絶賛すらしていました。AFは速くて正確だし、顔認識もすごく便利だし、高感度も相当強くなったし、超小さいし、小型で高性能なレンズは揃ってるし、形は可愛いし、EVFも見やすいし、防塵防滴だし、吐き出す絵を見たらビックリするくらい解像感もあって階調も豊かで、もうこれ以上なにを求めたらよいのでしょう。普段使いのカメラとしても、旅カメラとしても、これ以上のカメラはないと思うんですよね。
そりゃ、5D mark IIIなんかと比べたら色々とアレですよ。カメラとしての万能さや安心感や絵のクオリティで比べたら敵うはずもないのですが、その代わりに、あの大きさと重さを受け入れなきゃいけません。子連れで旅に持っていくことを意識すれば尚更、大きさ重さは重要な要素です。
OM-Dなら、いろんな交換レンズを片っ端からバッグに詰めても、それでも5Dと標準ズーム一本だけよりもずっと軽いしかさばらないわけですからねぇ。
 
気づいたら、僕の撮った写真の中で一番「アタリ」が多いのは、OM-Dになっていました。これは、使いやすさ、撮りやすさ、持ち運びのしやすさのバランスが、他のカメラよりも飛び抜けて良いからなのだと思うのです。普段から一番持ち運べて、一番失敗写真が少ないとなれば、それも当たり前の話ではあります。
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一応お気に入りの一枚を貼っておく
 
そんな感じでOM-D万歳って思ってたので、「パナソニックからフラッグシップのGH3が出るよ」って聞いても、はじめは全く気にもしませんでした。そもそも、あのLUMIX G系のデザインがどうも嫌い。カッコ悪い。なにあのペンタプリズムになりたかったけどなれなかったみたいな形。なにあのなで肩デザイン。GH2とかGF1とかGX1とかも使ってみましたが、過去のパナソニック系のマイクロフォーサーズカメラは、シアン系が強く出るような印象で色が好みじゃない上に、高感度でのディテール処理もどうも好きになれず、加えてインターフェイスもどうも初心者を意識しているのか使いづらくて、結局ほとんど使わなかった記憶しかありません。

最近のパナソニックの交換レンズはすごく充実してきていて、特に高性能レンズを積極的に揃えてきているというのに、ボディがそれに全く応えられないものばかり。なので、レンズはパナソニック、ボディはオリンパス、というのが最近の僕のチョイスでありました。

なのですが、カメラ雑誌を読んでいてちょっと興味がわいたのですね。それはGH3を開発したパナソニックのエンジニアさんのインタビュー記事。正確には覚えてませんが例えばこんな内容。

  • 「徹底してハイエンドユーザーの意見を聞いて、フラッグシップカメラとして使いやすいインターフェイスに刷新した」
  • 「画質やレスポンスではキヤノンの7Dをベンチマークにして、それを超えるものを作った」

おや?もしかしたら、GH3は今までと全く違うかもしれない。
 
そんな予感がしたのです。そして、実機の写真を見たら、これがまた今までのG/GHシリーズとは全く違うじゃないですか!何かカッコいい予感!ということで、今回は「パナソニック頑張れ」的な古巣への想いも込めて、思い切っていくつかのカメラやレンズを下取りに出して、GH3を購入したというわけです。
 
そしたら!そしたらですよ!
 
マジでGH3はすごいカメラでした。これだけ感動したカメラは久しぶりかもしれない(あんまり期待してなかったから、余計に感動しただけかもしれないけど)。旅行に連れて行って少し使い込んでみたら、このカメラは本当に良くできていることがわかりました。旅カメラ/家族カメラとしては、このカメラは現在最強かもしれません。
 
そういうわけで、なぜ僕がGH3を最強の旅/家族カメラと感じたかをいくつかまとめてレポートしてみたいと思います。
 
 
思い出に残るからこそ、画質は妥協したくない
 
GH3の画質はクラスを超えている】
いくら荷物を少なくしたいからと言っても、カメラや写真を愛する者としては、画質だけは妥協できません。せっかくの思い出ですから、やはりできるだけ美しく残したい。家族の写真は、いずれ子供にとっても大切な宝物になるはずです。ならばこそ、多少重くなったとしても、そこは頑張ってキレイな写真を撮りたいと思うのです。
そして今までのフォーサーズ系は「センサーが小さいからなー」というその一点において、やはりどこかに不安がつきまとっていました。それはOM-Dで劇的に解消されて、OM-D一台でも自信を持って旅行に行けるようになったのですが、GH3もそれに全く引けを取らない性能を持っていました。OM-DもGH3も、今や比較すべき対象はマイクロフォーサーズではなく、APS-Cの一眼レフなのかもしれません。
 
例えば、子供をモデルに撮影して、目のあたりを等倍で書き出した作例がこれ。撮って出しで何も加工していません。
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まつげや眉毛の描写といい、ハイライトの産毛といい、ここまで撮れるとは思いませんでした。
 
ちなみに、GH3はOM-Dとは違う方向で絵作りをしている印象です。色々な被写体で試してみて感じたのは、OM-Dは力強くシャープがかかった絵作りなのに対して、GH3の方はもっと繊細な描写を目指しているのではないかということ。
OM-Dでは、人を撮ったときに「皺」がすごくリアルに描写されているのに驚いたのですが、GH3では「髪の毛」の描写に驚いた、といったらその違いが分かるでしょうかね。どちらも性能としては申し分なく、あとは好みの問題でしょう。
 
こちらの作例は高感度撮影した茶碗蒸し。ISO1600ながら、上に乗った海ぶどうが見事に美しく描写されています。
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こういうのを撮ると、特にシャドー部にノイズが乗ったりしがちですが、等倍拡大してみてもノイズらしいノイズは全く見られませんでした。高感度もかなり優秀で、OM-Dとは同クラスか、もしかすると半段から一段くらい優秀かもです。
 
 
家族を撮るからこそ機能が大事
 
【子供やペットはスポーツ写真並みに難しい】
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はしゃいで動き回る子供や犬を撮ろうとして構えたのに、ジーーーッ、ジーーーッといつまでもフォーカスが合わず、結局貴重なシャッターチャンスを逃してしまったという経験、ありませんか?
実はAFの速さというのは、プロだけに求められるのではなく、僕らのような家族やペットを撮ることの多いアマチュアにこそ必要なのだと思うのですね。子供や犬の動きの速さ、動きの読めなさ加減といったら、これはもうスポーツフォト並です。いかに簡単に素早く動体にピントを合わせられるかは、実は画質以前に最も重要だと言っても良いのではないでしょうか。
だからこそ、AFは速ければ速いに越したことはありません。で、このGH3のAFは、すでに本格的一眼レフ並みのスピードと精度を持っているといっても過言ではないと思います。OM-Dのフォーカスも神がかり的に速かったのですが、GH3も全く引けを取りません。
もちろん顔認識AFもしっかり搭載されていますので、家族を撮るのに不安はありません。しかも、AFを顔写真モードにしておいても、いつでもタッチで任意の測距点を選ぶこともできます。よく考えられてますね。
ちなみに、一眼レフのような位相差方式のAFはスピードは速いのですが顔認識のような機能は実現できません。顔認識AFは、コントラスト方式のミラーレスだからこそ可能なのですね。この一点だけでも、一眼レフでなくミラーレスを選択する価値があるというものでしょう。
 
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飛び跳ねるイルカもこんな感じ。イルカはどこから飛び上がるか予想が付きません。そんな中、咄嗟にファインダーに収めてシャッターボタンを押すだけで瞬時に合焦するのは、さすがとしか言いようがありません。
 
 
【GH3のAFは本当によく考えられている】
さらに、位相差センサーに頼らない「コントラスト方式」のAFだからこそのメリットはもう一つあります。
AFを画面上の任意の好きな場所で合わせられて、しかも、そのポイントを十字キーだけでなく液晶画面でそのまま直接タッチで調整できてしまう。しかも、EVFを覗きながら液晶画面をタッチして測距点を指定できるという機能まで!これはプロ用の一眼レフでも絶対にできない、ミラーレスだからこそ可能な新しい使い方です。感覚としては、ノートパソコンのタッチパッドと同じ要領でAFを操作できると言ったらよいでしょうか。
こういう直感的な使い方ができるのは、結果的にシャッターチャンスを逃さずにステキな写真を残せることに繋がります。
 
 
旅/家族フォトだからこそ操作性が大事
 
【撮影モードの切り替えの容易さが勝率に繋がる】
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プロと僕らファミリーフォトグラファーが最も違うのは、被写体がめまぐるしく変わることです。家族で旅行に行けば、ある瞬間は風景を撮り、次にはそこを走り回る子供を撮り、そのあとには妻と子供が並んだところで記念写真を撮る。その合間に、足下の花や空の雲を撮る。そんな感じで、撮るものが次から次へと変わるのですよね。その中で、カメラの設定をどれだけ素早く変えられるかは、プロよりももっと過酷な条件にあるかもしれません。
でも、なぜかそれが簡単にできるカメラって少ないんですよね。プロ用の一眼レフはいざ知らず、初心者用になればなるほど、その辺の操作性はどんどん下がる。
子供が走っている姿を咄嗟に収めたいと思っても、連写モードを変え忘れて最高のシャッターチャンスを逃したり、AFモードを変え忘れてピンぼけを量産したり、シャッタースピードを設定し忘れて被写体ぶれの山だったり、まあこの辺は誰でも経験してることじゃないでしょうか。
GH3で僕が一番感動したのは、まさにそこです。GH3では、撮影モードだけでなく、連写モードとAFモードもそれぞれハードウェアダイヤルとして、簡単に変えられる場所に設けられています。これは、本格的な一眼レフならともかく、ミラーレスでは望むべくもないことでした。機能や性能では実力伯仲のOM-DとGH3ではありますが、この操作性だけはOM-DよりもGH3の方が遙かに上だと断言します。GH3はホントによく考えて作られてる。この一点だけでも、OM-DでなくGH3を選ぶ価値があるのではないでしょうか。
 
まず左肩という贅沢な場所に「連写モード」の切り替えダイヤルです。
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そして、EVFの横には「AFモード」ダイヤル。これのおかげで、ファインダーを覗きながら親指でAFモードを変更できてしまうと言う、超絶便利な使い方が可能です。
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ダイヤルがこんな感じで用意されていると「Aモードでじっくり風景を撮っていたら、子供が楽しそうに走り回り始めたので、それを撮りたくなった!」という場合、

  • モードダイヤルをSにして
  • 連写ダイヤルを「連写」に回して
  • AFを「コンティニュアス」にして

これだけで子供の走ってる姿が撮れるのですよ!設定を変更するための所要時間はおよそ2秒。
うーーん、これはホントに良くできてるとしか言いようがありません。
 
よく「初心者向けはボタンを少なく」ということがまことしやかに語られたりしますが、それってホントかなと思うんですよね。むしろ、初心者だからこそ簡単に設定が変えられるように、ちゃんとボタンやダイヤルを設けた方が良いこともあるんじゃないの?と。GH3みたいなインターフェイスの考え方は、ハイエンドだけでなく、エントリーモデルにも是非検討してもらいたいと思う次第です。一つの設定を変えるために、メニューボタンとか十字キーとかを何度も押さないといけないってのは、これはむしろ操作を難しくして、せっかくのシャッターチャンスを逃すことにしか繋がりません。結果として「写真って難しい」というユーザーを量産してしまうのは、本当に勿体ないと思うのです。
 
 
旅/家族フォトで嬉しい便利な機能
 
【撮ってすぐにiPad miniで写真を見たい】
家族の写真とかって、やっぱり旅先で早くみんなで見たいんですよね。最近は子供(2歳)自身も写真の概念を理解したようで、撮影すると「見せてー」って寄ってくる。それをピックアップしてその場で家族で見るなら、やっぱりiPad miniくらいの大きな画面で見たいものです。
そういうわけで、僕ももちろんEye-Fiカードを使ってはいるのですが、それでもやっぱりまだまだ気楽に使いこなすにはハードルも高いし、バッテリーも気になってなかなか使いこなせなかったんですね。でも、カメラにWiFiが付いたら話は別です。
GH3にはWiFiが付いてますので、そのままスマホやタブレットと直接接続して、撮影した写真を転送したり、さらにはスマホの画面を使って撮影できたりしちゃいます。その場でFBに投稿することもできますし、おばあちゃんに写真を送ることだって可能です。
以前、旅先で撮った写真をポータブルHDDに保存したら、そのHDDを落としてしまって、全てパーになった経験があります。そのショックたるや。なので、「これだけは絶対に残したい!」と思った写真だけはその場でスマホに転送しておけば、バックアップにもなりますよね。
 
 
【料理写真はミイルでお願いします】
僕がもう一つ便利だと思ったのは、ミイルとの連携です。GH3で写真を撮って、それをiPhoneに転送し、そのままミイルに投稿する。これを味わっちゃうと、もうiPhoneで撮ろうとは思わなくなります。だって、やっぱり撮れる絵が違うんだもん…
そういうわけで、沖縄で食べたのはこんなもの。ミイルからの作例です。
 
http://miil.me/p/m4i8
石垣牛のステーキとか
 
http://miil.me/p/m4me
デザートとか。ミイルで投稿するとこういうフレームも付いたりします。
 
 
【水がかかったら!って心配をすると攻められないんです】
子供と海に行けば、そりゃ当然波打ち際で遊ぶことも多いわけです。でも、その時にいちいちカメラにかかる水を気にしてれば、子供と思いっきり遊ぶ事なんてできやしません。そうなれば、よい写真だって撮れません。やっぱり写真は「攻める」姿勢が必要ですからね。
なので、旅&家族カメラには、そういう要素も大事。そして、こういうときも防塵防滴のGH3なら安心です。今回も、子供と一緒にイルカに触れて遊んだのですが、目の前でイルカがジャンプすれば海水もバシャバシャかかります。こういうときも全然気にせずカメラを構えられるのは、やっぱりありがたいですよね。ていうか、子供の前で「カメラに水がかからないように逃げまくるお父さん」だけは演じたくありません。
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水が怖くなければ、イルカさんにもここまで寄れちゃうんですね
 
 
【いざというときは映画並みの動画が撮れる!という安心感も】
僕は元々あまり動画には興味がないのですが、たまに撮っておくと、やっぱり静止画にはない思い出が残せたりしますよね。たまに昔の動画を見返すと、やっぱり感動することも少なくありません。で、その動画に関しては、もともとLUMIX GHシリーズは最も評価が高い伝統があるわけです。動画でなくスチル派であっても、いざという時に、手元にあるカメラがすごい動画機能を秘めてるなんて、そんな心強いものはありません。GH3を買うと、もれなく映画並みの機材が付いてくるようなものですから。そりゃ安心感は大きいですよね。
そんなわけで、動画のことは良くわからんのですが、スローモーション動画、クイックモーション動画、24pや30pなどとカタログに謳っていますし、一度本気で撮ってみたいと思うところではあります。
 
 
【小ささは正義】
そしてなによりやはりこれです。サイズ。これこそが旅/家族カメラにおける最大のポイントです。
結局のところ、どれだけ簡単に持ち運べるか次第で、撮れる絵もまるで変わってきます。今までだったら我慢してレンズを減らして旅に出たものですが、今は「レンズをもう一本」がなんの苦もなくできちゃいますからね。そしてその一本で、今まで撮れなかった写真が撮れるようになる。幸せなことです。
GH3の一番の美点は、やはりフルサイズやAPC-C一眼レフ並の性能、機能や操作性をしっかり維持しながら、サイズはミラーレスのコンパクトさを維持しているところだと言えるでしょう。
機能的にボタンが多かったり、大きなグリップが付いていることもあって、GH3はOM-Dよりも大きいのではありますが、それでも一眼レフよりは遙かに小さいですし、レンズも含めればそのサイズの差は歴然です。
やっぱり、GH3とかOM-DとかX-E1を使っちゃうと、すでに時代はミラーのある一眼レフじゃなくてミラーレスが主役になっちゃったなあと思うのですね。
 
 
そういうわけで結論
 
年の瀬になって今年の一番のヒットが出た、というのが結論でしょう。
僕の今年の私的ベストカメラは、パナソニックのGH3、そして僅差で富士フイルムのX-E1でフィニッシュです。
2012年の買ったカメラランキングはまた別途書こうと思いますので、そちらもよろしくどうぞ。