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「あさこ食堂」とお母さんの手料理の話

シラサカアサコさんの「あさこ食堂」が、ついに本当のお店になりました。
 
リアル「あさこ食堂」開店します!
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ここでシラサカアサコさんを知らない方のために簡単にご説明すると、彼女はミイルで一番多くの「食べたい!」を集める、まさにアルファなミイルユーザーさんです(ミイルアカウントはasacoshirasaka)。ミイルに投稿した写真を利用した「あさこ食堂」というブログも運営していて、こちらも人気となっています。
さらにさらに、この活躍はどんどん加速して、ついにあのディスカバー21から、「あさこ食堂の一緒に食べる遅(おそ)ごはん!」という本を出すことまで決まったのです!そして今回、この出版に先立ち、あさこ食堂のいろんなメニューが期間限定で実際にお店で食べられるようになったというわけです。
 
そのお店がこちら。
FabCafe
おしゃれなお店ですねぇ。ここで10月22日 (月)から26日 (金)のランチタイム(11時半〜15時)、一日40食限定であさこさんの手料理が楽しめます。

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【レセプションで食べた、なすの梅照り焼き丼は本当においしかった】
 
この「リアルあさこ食堂」については、すでにたくさんの方が記事にされているようですので、それぞれの記事はこちらからご覧いただくとして。
僕はちょっと違う観点で、ミイルの中の人という視点から、あさこさんについて書いておきたいと思いました。
 
★★★
 
そもそもは、僕があさこさんと知り合ったのは数年前にさかのぼります。ある友人から育毛クリニックのプロモーションについての相談を受けた際、そこに同席していたのがあさこさんでした。その場で彼女が書いているというブログを読み、そして手作りのレシピノートを見て、あまりのクオリティの高さにびっくりしたのを良く覚えています。「これ、このまま出版できるんじゃないの?」というレベルでした。
思えば、そもそも彼女はこうして料理本を出版したり、実際にお店として料理を提供したり、そのくらいの実力はその頃から持っていたのですよね。タイミングさえ合えば、彼女はいつでもブレイクできた人なのだろうと思います。
 
その後、僕もひょんなことから「ミイル」をリリースします。しかし、その時は僕らはあさこさんには声をかけませんでした。試しに使ってもらうことすら想定しませんでした。なぜなら、リリース当初、僕らは彼女のような手料理派より、むしろ外食機会の多いユーザーさんを意識したからです。
しかし、ふとしたきっかけであさこさんがミイルを知り、そこから彼女の毎日の投稿が始まると、そこで僕らは自分たちのサービスの価値が別のところにあったことを知るのです。
 
僕はもともと彼女が料理が上手いことを知っていました。豚組で開催したイベントでは、彼女のオリジナルレシピを豚組の料理人に調理させてお出ししたこともあります。料理長からの評価は「このまま作って十分に美味しかったので、特にアレンジを加えずにそのまま出しましたよ」という、とても高いものでした。
親しい友人だけで集まって「手料理の会(僕は食べる役でしたが)」を開いたときも、確かに彼女の作ったお料理は美味しいものばかりでした。
でも、それでも僕は彼女の本当の実力を知らなかったのですね。
 
そして、日々投稿されるあさこさんの写真を見て、初めて僕のあさこさんへの認識がどれだけ甘かったかを思い知らされたのです。彼女の投稿は、一枚一枚を見ればそれほど派手なお料理ではありません。もちろんセンスの良さは感じるし、盛りつけやテーブルセッティングも美しいし、写真の撮り方も上手です。でも、プロが作るものに比べれば、やはり「地味」であることに間違いはありません。
でも、その写真が毎日毎日投稿されて、彼女の写真が「塊」となったとき、彼女がどれだけすごいかをようやく理解することができました。
 
彼女のすごさは何かといえば、それはまさに「毎日食べる」ことを考えて作っていることなのですね。僕ら飲食店を営んでいる者は、どちらかというと「週に一回」「月に一回」場合によっては「年に一回」食べることを想定し、その食事が印象に残るように力を尽くします。自ずと盛りつけや演出は派手になります。味もどこかに必ず主張のあるものになります。こうして作られたお料理は、確かにハレの気分を味わえるものになるのですが、ただ同時に毎日食べると必ず飽きがくるのですよね。
 
家庭のお料理はそれでは成立しません。旦那さんや子供に食べてもらうお母さんの手料理は、毎日毎日ずっと続いていきます。毎日無理なく続くように、調理の手間はできるだけかからない方がいい。味は、インパクトがありすぎるものではなく、じわじわ美味しい方がいい。毎日食べても飽きないだけでなく、毎日食べ続けることでどんどん美味しく感じるような、そういう味付けの方がいい。そしてそんな日々の食事が文字通り家族の肉や骨となり、生活を支えていくのです。
 
僕は彼女からどういう気持ちで料理を作っているのか、直接聞いたことはありません。でも、彼女の写真から感じるのは、そんな気持ちで料理に向かっている姿です。
 
ここで、僕はあさこさんのすごさを知るとともに、ミイルの別の可能性にも気づかされました。外食のように一食入魂で作るお料理は、一枚の写真だけで多くを伝えることができます。しかし、何枚も何枚も、たくさんの写真が日々投稿されていくことでその人の家族への思いが見えてくること、それこそがミイルの本当の価値なのかもしれません。
飲食店の人たちは、料理に対して強い思いを持っています。しかし同じように、毎日家で料理をしている主婦の人たちも、また別の思いを持っているのですね。両者の違いは、前者は不特定多数の人たちを相手にしているけれど、後者は特定のほんの少数の人たちを相手にしていること。前者はたまに食べたときの喜びを追求して、後者は毎日食べて幸せになることを追求していること。
その思いや相手にしている人が違うだけで、料理に対する気持ちは、どちらも同じように尊いのですよね。
 
★★★
 
そういうわけで、普段は旦那さんしか食べることのできないあさこさんの手料理が食べられる機会は、今しかありません。あさこさんがどんな思いで毎日の料理を作っているのか。まずは本人から敢えて何も聞かず、お料理とだけ向き合って、その気持ちを感じ取ってみていただきたいと思います。
派手さはあまりないかもしれないけれど、そこに何かを感じ取っていただくことができれば、ミイルを運営する者としてもこんなに嬉しいことはありません。
 
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今回の出版から出店までをバックアップしているチームあさこのみなさん。頑張ってください!
 
 
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それにしても、やっぱり料理してると楽しそうだなあ。
 
 
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