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名刺10,000枚をEvernoteで管理する方法

Evernoteの何が便利かって、やっぱり名刺管理をおいて他にはないと思うんですよね。もはやEvernoteなしでは僕の名刺管理は成立しません。
 
で、ずっと以前、こんなエントリーを書きました。
 
名刺をEvernoteで管理する方法をまとめてみたよ
 
この記事は結構いろいろな方に読んで頂いたようで「僕も名刺をEvernoteで管理するようになりました!」とか「参考になりました!」と言われることも少なくありませんでした。そしてそれから2年数ヶ月。
僕の名刺管理はどうなっているかというと、やはり今でもEvernoteです。
でもこの二年でその運用方法もかなり変わりましたので、そろそろ改めてまとめておこうと思いました。
 
名刺枚数、約10,000枚到達間近
自分の経営するお店で日々お客様と名刺交換し、昼間のミイルの仕事で名刺交換して、さらにセミナーとか講演でまた名刺交換していたら、もらった名刺が9,000枚を突破し、もうすぐ10,000枚に到達しようかという状況です。
 
ふつうにEvernoteで管理しても重すぎて無理
でですね、問題はこの名刺の枚数がここまで増えると、Evernote自身の運用にも問題が出てきます。JPEGで軽めにしているとはいえ、名刺10,000枚ともなると、そのデータ量は半端ないわけです。試しにさっきライブラリの容量を見たら、5GBありました…
これだけライブラリが巨大になれば、iPhoneiPadにEvernoteアプリをインストールして使おうにも、そもそも同期が完了しません。それどころか、ふつうにメモを取るにも支障が出る始末。名刺画像の同期が重いのでしょう、全然使えたもんじゃありません。
Evernoteで名刺管理するメリットは「常に全ての名刺を持ち運べる」ことだったはずなのですが、こうなってしまうとiPhoneiPadで「外に持ち出す」ことは事実上不可能です。結局出先で名刺を探そうと思うと、MacBook Airを開いて、ローカルに保存してあるEvernoteのライブラリから検索しなければなりません。
 
僕がよくやる失敗は、アポイントでお客様のオフィスまで行き、受付で訪問先の方の名前を伝えようとして「あ、部署名をメモしてなかった」という状況です。そこでiPhoneを出してEvernoteを開いても、もちろん名刺を探すところまではたどり着けません
なので慌ててMacBook Airを取り出して、検索して、というアタフタしているうちに約束の時間を過ぎてしまって…
 
いくらEvernoteが便利だからといって、こんな使い方しかできないのでは意味がありません。僕の「外部脳」として働いてもらうには、いつでもどこでも、どのデバイスからでも簡単に情報を取り出せるようになっていてほしいのです。
そもそも、僕はもうできるだけPCは持ち運びたくないんです。出かけるときは、スマホとタブレットで済ませたい。なのに、名刺データのためだけにMacBookを持ち運ばないといけないなんて、それでは本末転倒です。

結局、名刺が膨大であるが故に、Evernoteアプリは重くなってメモ取りすら支障が出るわ、名刺データを持ち運ぶためにパソコンは持ち運ばないといけないわで、そもそもEvernoteはクラウドにデータを保管できるのが売りの一つのはずなのに、全くそのメリットを享受できない状況となってしまいました。
 
 
そこでいろいろと試行錯誤しまして、現在はこんな運用方法で使うようになりました。
名刺を大量に持っている人にとっては結構快適な使い方ではないかと思います。同じような悩みを抱えている方に参考になれば、書いた甲斐があるってもんです。
 
 
1)まずアカウントを分けます
最新のEvernoteは、複数のアカウントを使い分けることができます。そこで、思い切って「名刺専用のアカウント」と、それ以外の情報を管理する「メモ用アカウント」に分けることにしました。
ちなみに既存のアカウントから新しいアカウントにデータを移行するのは実に簡単。必要なノートブックをエクスポートして、新しいアカウントでインポートするだけです。
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これで、メモ用アカウントはスッキリ。Evernoteが今まで通りサクサクとメモツールとして使えるようになりました。
もちろん、iPhoneiPadのEvernoteアプリは、このメモ専用のアカウントで運用します。(なので、Evernoteアプリの中には名刺データは存在しません)
 
2)名刺専用アカウントの利用方法
これでモバイルのEvernoteアプリはスッキリしたのですが、こうなると名刺データをどうやって持ち運ぶかが問題です。
モバイルで通常運用するのはメモ用アカウントの方ですから、もちろんEvernoteアプリを立ち上げても名刺データは一枚もありません。だからといって、名刺を探す度にアプリでアカウントの切り替えをしたって、データの同期だけで数時間かかってしまいます。バッテリーも保つわけない。ということで、名刺をEvernoteアプリで管理することはあきらめるよりありません。
じゃあブラウザだ!とevernote.comを開いても、自分のデータをスマホから閲覧できるような機能はありません。PC版のページを開いても、iPhoneiPadから使えるようなページにはなっていません。ストレスだけが溜まっていきます。
 
4)withEverを使うと解決!
そこで一つアプリをご紹介します。withEverという、Evernoteの検索に特化したアプリです。85円と有料なのですが、これ一つで名刺問題はほぼ解決します。
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アプリをインストールしたら、名刺用のアカウントでログインし、検索対象のノートブックを名刺のノートブックに設定しましょう。これで準備完了です。
会社名でも個人の名前でもメールアドレスでも、任意の文字を入力して検索すれば、あっという間に候補が表示されます!

検索結果はこんな風に表示されます
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【名刺は「検索」だけに割り切って十分だった】
かつて、僕は名刺を探すとき、名刺の色や柄、あるいは名刺交換した日付から目当ての人を探すという使い方を重視していました。だから、時系列に名刺をざっと眺めて高速スクロールできるのが必須でした。でも、さすがに名刺が10,000枚に届こうという状況になれば、その使い方にはそもそも限界があります。結局、最近は社名や人名などから「検索」で探すケースがほとんどなのですね。
実際、この運用に切り替えても、実用上は全く問題ありませんでした。なぜなら、会社名や人名から検索するときと、名刺をパラパラめくって目で探すときでは、文脈も状況もまるで違うからです。「検索」したい状況とは、先ほどのように「オフィス受付で訪問先の部署が分からずアタフタ」とか「急いで電話で連絡したいけどメモしてなかった」のように、出先などで緊急に必要なケースが多いのに対し、後者はオフィスでMacBookを開いて「誰だっけなー」とぱらぱら名刺をめくる、つまり急を要さないケースがほとんどです。
なので、出先で緊急に連絡先を知りたい、部署やメールアドレスを知りたいときに使うのがiPhone/iPadだと考えれば、シンプル且つ高速に検索できるwithEverさえあればよい、ということなのですね。
 
ちなみにこのwithEver、体感的には相当検索が速いです。外出先で検索しても、検索結果が表示されるまでの時間は極めて短時間。ストレスフリーです。これもモバイルで使うには大事な要素ですよね。
 
 
【注意しなきゃいけないこと】
この運用方法で気をつけないといけないのは、アカウントの切り替えを忘れることです。名刺をスキャンして読み込んだら、同期が完了次第、メモ用のアカウントに戻しましょう。ここで切り替えを忘れると名刺用のEvernoteアカウントにどんどんメモやら録音データやらを貯めてしまって、あとで見つからなくなったり、データの移行などをしなければならなくなります。
それから、名刺とメモが連係できなくなりますので、ミーティングメモと名刺を一緒に残す、みたいな運用はできなくなります。まあ、それよりも僕的には「必要なときにすぐに名刺を取り出せる」という安心感の方が大きいのですけれど。
 
 
【もうタグ付けとか不要かも】
最後にちなみに、なお話をすると、以前のエントリーでは「名刺にはタグ付けして整理する」と書いていますが、今は全くそういう手間はかけていません。
最近のEvernoteの日本語OCRはかなり精度が上がってきているようで、いちいちタグなどを入力しなくても、名刺に記載されている日本語で十分に検索できてしまいます。これなら、ScanSnapでスキャンしてそのままEvernoteに放り込んでおくだけで、ほぼ問題なく運用可能です。
 

ということで、名刺が多くて困っている方には是非一度お試し頂きたいと思います。

もちろん、名刺がそんなに多くない方は、こんな使い方をする必要は無いと思います。「全ての情報が一カ所に集まっている」方がメリットは大きいと思いますので、名刺データの量に応じて、この辺の運用を考えてもらったら良いかと思います。

 
あとは、これをベースにEvernote Helloの機能を組み合わせたりできるとかなり痒いところに手の届く名刺管理手法になる気がするので、この辺を試した方は是非教えてください。

厳寒の北海道(美瑛/白金)は想像以上に美しかった

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北海道に行ってきました。
結論から言うと、もうあまりに素晴らしすぎて、冬の北海道を知らずに「寒いところは嫌いだ!」とか言いながら生きてきた40余年を後悔しています。
 
 
訪れたのは冬真っ盛りの1月26日。超大型寒波到来が騒がれていたさなかでした。目的地は旭川から白金温泉、そして美瑛です。
「北海道に行ってくるー」というと、色々な人たちが口を揃えて「は?」とか「何しに行くの?」「大丈夫なの?」とか「物好きな…」と、とても冷めた反応を返してくれるのがとても印象的でした。
 
事前に調べた限りでは「最高気温マイナス6℃、最低気温マイナス26℃」。これは下手したら死ぬんじゃないか?と不安にもなったのですが、よく考えれば現地ではふつうに生活している人たちがたくさんいるわけですし。まあなんとかなるだろうということで、スノーブーツと手袋とヒートテックを調達して行ってまいりました。
 
ウチの子供(2歳)が動物マニアなので、一日目は旭山動物園。二日目はネイチャーガイドさんにお願いして、白金〜美瑛周辺の「フォトトレッキング」なるものに挑戦してきました。
このフォトトレッキングがあまりに楽しかったので、今回のエントリーで写真と一緒にご紹介したいと思います。
 
 
フォトトレッキングはプロのガイドさんにお願いしました
フォトトレッキングをお願いしたのは、美瑛・白金ネイチャークラブさん。ガイドの小倉さんが、土地鑑がなければなかなか踏みいることのできない森の奥までスノーシューで連れて行ってくれたり、写真を撮る人にはたまらない撮影ポイントにクルマで案内してくれる、約8時間のコースです。
この小倉さん、「このガイドに会いたい 100人プロジェクト」でも紹介されている方なのですが、ご自分でも風景や動物の写真を撮り、ブログで日々美しい写真を公開されています。そういう方が、一日かけて効率よく撮影ポイントに案内してくれるわけですから、写真好きにとっては夢のような一日を過ごせるわけです。
 
 
というわけで、この日に撮影した写真を一気にご紹介。このフォトトレッキングに参加するとこんな風景に出会えます。
 
青い川
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雪ががんがんに降ってます。静かです。これは白金名物の「青い川」。
アップルの広告で有名になった「青い池」はこの川がせき止められてできているのですが、残念ながら冬は凍ってしまって見ることができません。しかし、この川は冬でも健在です。雪に覆われたこの時期だからこその、白と青の見事なコントラストが楽しめます。
 
スノーシューで森の奥へ分け入ります
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スノーシューとは「西洋式かんじき」のことです。深い雪に沈まずに歩くことができるので、誰も入っていけない森の奥を自由に動き回ることができます。ガイドさんについてずんずん森へ入っていきます。
 
楽しい
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いやー楽しい。満面の笑み。
 
木に雪が積もってるというより雪の中に木が埋もれている
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この森の奥へ突入していきます。
 
森の中から青い川が見えます
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この景色独占です。そしてこの川まで下りていきます
 
青い川のほとりに到着
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なんというか川がもうすごいことに…
 
エゾジカにもご挨拶
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どうもどうも
 
 
こんな感じでトレッキングを楽しんだら、このあとはガイドさんの操る四駆で、富良野〜美瑛の美しいスポットをどんどん回っていきます。
 
富良野近辺
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天気が悪いせいもあって、もう白と黒しかない世界が続きます。
 
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水墨画みたいなシンプルな風景ですね。こういうの大好き。
僕もいつかはマイケル・ケンナみたいな写真をいつか撮れるようになりたいと思うのですが、なかなかたどり着けません。
 
キタキツネ発見
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遠くを走っております。ならされて餌を求めて寄ってくる個体が増えている中で、人やクルマを見て走って逃げるキタキツネは北海道では貴重な存在になりつつあるそうです。
 
美瑛近辺
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有名な「クリスマスツリーの木」です。夕日がキレイなスポットらしいのですが、あいにくの雪でした。しかし、そんな中でうっすらと日の光が差して、ちょっと神秘的な感じになりました。
 
哲学の木
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これも有名な木ですよね。
ちなみになぜ哲学?と思ったら、木が少し傾いているのが、首を傾けて考え込んでいるように見えるからだそうです。
最近は木が少しずつ弱ってきているようで、もしかしたら近く切り倒されるかもということですので、見たい人は早めに行っておきましょう。
 
家族の木
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お父さんとお母さん、そしてその間に挟まれた子供という三本の木から親子の木と言われていたそうなのですが、よく見てみると三本じゃねーぞ!何人家族だこれ!親子以外にもいるぞ!というツッコミが増えたとのことで、最近は家族の木と呼ばれるそうです。
 
そして一気に晴れてきました!
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そしてここから急に天気が回復してきました!太陽の光の中、舞う雪がきらきら光っています。
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ほんとキラキラして何とも言いがたい美しさ。
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某社のカレーのCFでお馴染みのおうち
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夕方にポッと家に明かりがともる、カレーのCFを覚えてますかね。あれに使われた家だそうです。
これももうすぐ取り壊されるかもしれない物件です。
 
再びスノーシューで丘を登ります
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美瑛のあたりは冬でもかなりの観光客が写真を撮りに来ているわけですが、みんな足がずぼずぼ埋まって動けなくなっている横を、スノーシューでずんずん登っていきます。優越感。
夏はクルマがギリギリ一台通れるかどうかの道も、雪で埋まってしまえばだだっ広い雪原です。足下にあるガードレールらしきものを目印に登っていきます。
 
登ったらこんな景色が待っていました
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ここは「マイルドセブンの丘」と言われているスポットです。キレイですな。
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満面の笑み
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日が暮れてきました
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楽しかった一日が終わろうとしています…
 
 
以上でトレッキングは終了です。

このツアーの楽しいところは、「写真好きによる写真好きのためのプログラムになっている」ことでした。野山を歩いても、町中を散歩しても、写真を撮る人と撮らない人では、歩くペースが全く異なります。撮る人は常に撮らない人たちに「お待たせしてゴメンナサイ」と汗をかきかき謝ったりするわけですが、このツアーに関してはそんな気遣いは一切不要です。思う存分写真を撮りながらじっくり歩ける。
しかも、スノーシューやストックなどの必要な機材は全て借りることができます。スノーシューで歩くのはごく限られた時間だけで、あとはクルマでの移動が多いので、体力に自信の無い人でも十分についていくことができるでしょう。
 
美瑛や富良野というと夏をイメージする人も多いかと思います。僕も去年の夏に初めて美瑛に訪れたのですが、いやいや、美瑛が本当に美しいのは真冬でした。こんなに美しい世界を今まで知らずに生きてきたとは、なんたる不覚。
絶対にまた来年も来る!いや、もし今年また来られるようなら今年すぐにでも来たい!と思ったのでした。
ぜひ興味のある方は一度は足を運んでみることをオススメします。
 
ちなみに、今回の機材は全てLUMIX GH3。レンズは12-35mmと35-100mmの二本です。
ここに掲載した以外にも写真をご覧になりたい方はこちら、500px.comのページをどうぞ。

ミイルは何を目指すのか

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ミイルがスタートしてから一年ちょっと経ちました。色々な方とお話ししてきましたが、これまでで一番聞かれたのは「ミイルは外食を狙いに行くんですか?それとも家メシなんですか?」という質問です。
 
今までは聞かれるごとに精一杯の言葉を使って説明をしてきたのですが、これ、そろそろきちんとまとめた方が良いと思いました。というのは、この点に対する回答こそが、今後のミイルの大きな方針になるからです。
そこで今回は、「ミイルが目指すもの」について簡単に説明しておきたいと思います。
 
 
ミイルが目指すのは「人に一番近いグルメサービス」
まず最初に結論から言うと、ミイルが目指すのは「人に一番近いグルメサービス」です。「ユーザーを一番知っているグルメサービス」と言い換えても良いかもしれません。
つまり、ユーザーさんの食生活に寄り添い、ユーザーさんが日々何を食べているのか、一人一人の人たちがどういう食生活を送っているのかを知っているサービスということです。そこには、外食とか家メシという区別は存在しません。外で食べようが家で食べようがお弁当だろうが、その人にとっては全てが大事な食事です。それらの食事が全て集まって初めて、その人の「食生活」であり、その人の人生なのです。
これは、これまで存在しなかった、全く新しいグルメサービスのジャンルになると思っています。
では、具体的に何が今までのサービスと違うのか。それをもう少し詳しく説明してみます。
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今までのサービスの主役はユーザーじゃなかった
世の中にはたくさんのグルメサービスがあります。外食に特化したクチコミサイトや、レシピに特化したサービス、お取り寄せや出前を専門に扱うサイトもあります。
一見するとそれぞれ全く違うサービスに見えますが、一つだけ全てのサービスに共通する特徴があります。それは、「食べる人ではなく、お店や料理が主役になっている」ことです。
例えば外食向けのサービスでは「お店」が主役です。お店が一つ一つページを持ち、そのお店のメニューや営業時間、あるいはそのお店に対する評価などが並びます。もちろん、サービスによってはユーザーさんごとにページが設けられていて、そのユーザーさんが過去に投稿したレビューなどを一覧することもできますが、しかしその情報はサイトの主役ではありません。
あるいはレシピサイトでも同様です。レシピサイトの主役はあくまでも「レシピ」。それを投稿したユーザーさんや、そのレシピで実際に料理してみたユーザーさんが主役になるわけではありません。
 
こうしてみていくと、今までのグルメ系サービスではおしなべてお店や料理が主役だったことに気づきます。ユーザーさんは、それぞれのお店やレシピ情報を投稿したり評価したりしますが、そういった一人一人のユーザーさんが「どういう食生活を送っている人なのか」「どういう食の嗜好を持っているのか」はあまり顧みられません。
言ってみれば同じ「じろう」でも、毎日ラーメン二郎を食べている人と、毎日すきやばし次郎に通っている人では、まるっきり食に対する価値観は違うはずです。同様に、週7日外食する人と、月に一回しか外食しない人では、飲食店に求めるものは全く異なるはずです。しかし、仮にそういった全く異なる二人が同じお店のレビューを投稿をしたとしても、ユーザーさん一人一人の嗜好の違いは、レビューを読む側はあまり意識することはありません。
 
もちろん、これは決して悪いことではありません。サービスとしてのマネタイズを考えたとき、外食市場と家メシ市場はまるっきり対象もアプローチも異なります。ですから、きちんとサービスが収益を上げて長く継続していくためにも、課金する対象を明確にし、外/ウチのフォーカスを絞り込み、店舗やレシピを主役として情報を充実させていくことはとても理に適った手法です。
しかし、一方では、「ユーザーさんに対する深い理解」が置きざりになってしまうのも事実だと思うのです。
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みんなが「検索」している
いま、僕らがお店を探したりレシピを探すとき、どういう行動を取っているでしょうか。おそらくそれぞれの専門サイトにアクセスして「検索」をしているはずです。
僕が札幌に行ったとき、「せっかくなので美味しい味噌ラーメンを食べたいな」と思ったとします。すると、まず僕はクチコミサイトにアクセスし、「札幌 味噌ラーメン」と検索します。そして表示された結果からつけ麺を外し(僕は汁麺派です)、魚介ダシ系を外し(豚骨や鶏ガラ派です)、さらにレビューをいくつか読んで(一つだけ読んでもアテにならないので)… こうして書いてみると、結構な手間をかけるものですよね。で、最後は面倒になってTwitterFacebookあたりで「誰か美味しいところ教えて」とか聞いたりする。そこまで頑張って探した割には、最後は「ここが自分の好みにドンピシャかどうか確信はないけど、行ってみるか!」とエイヤで飛び込んでいると考えると、あまり効率の良い方法とは言えません。
 
これが今の僕らにとってはふつうの行動になっているのですが、食べログだけでも月間4,000万人もの人たちがアクセスし、そのうちのかなりの人数が検索をしているってのは、これはすごいことだと思うのです。一人一人の検索に費やされている時間を足し上げたら相当なものでしょう。この状況って、みんなが検索ウィンドウに向かって「僕の好みはこういう料理で、こういうのは好きじゃないんです」「こういうお店はないでしょうか」と一生懸命伝えているわけです。そして表示される結果に対しては、一件ずつ評価を読んだりと手間をかけて取捨選択しています。
 
 
検索しなくていい世界
そこで僕が想像するのは、「検索しなくていい世界は作れないんだろうか」ってことです。
僕が札幌に行ったら「ラーメン食べたい」と聞くだけで、僕好みのお店をピックアップしてくれる。つけ麺も魚介ダシもフィルターして、ホテルのそばの動物系こってり目な味噌ラーメンをオススメしてくれるようなサービスって作れないんでしょうか。
なぜ今はそれができないかというと、結局のところ既存のグルメサービスはどれも「お店/料理/レシピ/食材のことはすごく詳しいけれど、ユーザーさん一人一人のことは全然理解できていない」からだと思うのです。だからこそ、ミイルはユーザーさんを一番理解しているサービスにしたいと思っているのです。
 
これは実はユーザーさんだけでなく、飲食店や食品メーカーにとっても価値のある話です。食は極めて主観的なもので、全てが好き嫌いだけで判断される数少ない商品です。その時に一番重要になるのが「相性」。この相性が合わない場合は、お客様が損するだけでなく、店舗や企業にとっても不幸な結果になります。提供する側からしても、自分たちの料理や食材の価値を認めてもらえる人と出会えてこそ、ファンが生まれて商売が成り立つというものです。しかし現状は、そういうお客様と上手に出会う方法はほとんどありません。現実的には「お客様の側だけが一生懸命探している」状況が続いているわけで、相性のよいユーザーさんとお店や商品が正しくマッチングする機能を誰も提供できていない、というわけです。(だからこそ、様々なクーポン手法や送客方法が生まれては消えているのだと言えます)
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ミイルに託す未来
では、そのマッチング機能を提供できたら、もっとみんなにとってハッピーな世界が作れるんじゃないか?
僕がミイルに託したいのは、そんな未来です。ゼロにするとまでは言わなくても、今よりもずっと「検索する必要」の少ない世界です。そしてそれを実現するためには、僕らは誰よりもユーザーさん一人一人の食の好みを知っているサービスを作らなくてはなりません。
だから、ミイルはそんな世界の実現に向かって、まずは一人一人の食の好みが蓄積されていくような仕組みを作りからスタートしています。自分の食行動を残していけば行くほど、自分の食の好みに沿ってお店探しやレシピ、食材探しのサポートが得られるようになる。ミイルに向かって「お腹すいた」といえば、今自分が食べたいであろうもの、自分が食べるべきものが提示される。いつかはそんな世界を作りたいと思っているのです。
 
食の記録は、そのまま自分の生きた証でもあります。実際、ミイルに残っている料理の写真を振り返れば、音楽と同じように、それを一緒に食べた人、そこで交わした会話まで思い出すことが少なくありません。ミイルは食の思い出を残していくことで、ユーザーさん一人一人の生きた証を残しながら、その一人一人の食生活を豊かにしていくお手伝いをするサービスになっていくというわけです。
 
 
ウチメシも外食もお取り寄せもデリバリーも、全部がその人の人生です
だから、ミイルは外食とかウチメシという区別なしに、「その人の食生活」を全て記録してもらえるサービスにしたいと思っています。理想主義かもしれません。マネタイズの面から考えれば、当面は苦労が続くかもしれません。でも、今「ユーザーを理解しているグルメサービス」が一つも存在しない以上、そこにチャレンジするのは大きな意義があることだと思っています。実際、ミイルは今でも外食と家メシの両方が投稿され続ける数少ないサービスになっています。それこそが最大の特徴であり魅力になるようなサービスを作ることこそが、僕らの最大のチャレンジなのだと思います。
 
もちろん、失敗する可能性も少なくありません。しかし、もしも僕らのチャレンジが成功したら、その時にはグルメサービスのパラダイムがガラッと変わるかもしれません。おそらく既存のグルメサービスを破壊するようなことはないにしても、少なくとも、既存サービスと競合するのではなく「補完し合う」メディアとして、全く新しい立ち位置を持ったサービスになることは間違いないでしょう。そのとき、まさに僕らが目指している「人と食の幸せな出会い」が実現し、食文化はもっと豊かで楽しいものになるはずです。それを目指して、ミイルはこれからも進化していきます。

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極私的2012年カメラランキング

どうも、ヒトシ・デジカメスキー(c いしたにまさき)です。
 
前回のエントリーで予告したとおり、今回は2012年のカメラについておさらいをしておきたいと思います。
基本的に全て自分が購入したカメラだけが対象ですので、極めて偏った、偏見に満ちたランキングではありますが、その分愛もあります。
と、前置きはこのくらいにして、さっさと本題に入りましょう。まずは第5位からです。
 
 
第5位
ソニー NEX-7

SONY デジタル一眼カメラ α NEX-7 ボディ NEX-7

SONY デジタル一眼カメラ α NEX-7 ボディ NEX-7


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★実はオールドレンズで遊ぶ人にベストな選択
このカメラは厳密には2011年発売の機種なのですが、タイの洪水騒ぎでデリバリーが遅れて、結局購入できたのは今年だったということでランキング対象としました。
形、サイズは結構好きなんですけども、APS-Cのミラーレスで2,000画素を超えてるとさすがにオーバースペック感が否めません。さらに、高画素のために画素ピッチが狭いのか、高感度では被写体の輪郭が崩れてくる描写が余り好みではありませんでした。
あと、ダイヤルを三つ付けるというインターフェイスは結構好きなんですけど、ダイヤルが軽すぎてクルクルクルクル簡単に動いちゃうんですよね。いいカメラを操作してる!っていう実感に乏しいのも残念でありました。
一方、NEX-7で一番気に入っていたのは、マニュアルレンズを装着したときのフォーカスアシストとして「ピーキング機能」が用意されていたことです。ピントをきちんと合わせるため、大抵のカメラでは拡大表示が用意されていますが、これは実際はあまり実用的じゃありません。ピントってのは、フレーミングを追い込みながら合わせるものであって、別々の作業に分けられたら困るわけです。そこで、NEX-7では、一部を拡大表示するのではなく、ピントが合っている部分を白や赤でハイライトしてくれるという便利機能を用意してくれています。このおかげで、NEXは「マウントアダプター遊び」に最適なミラーレスになっていると言えましょう。まあ、マウント遊びとかする余裕がないくらいに、純正のレンズが充実してくれるといいのですが。
(ちなみにこの子はもう手許にはいません)
 
 
第4位
キヤノン EOS 5D mark III


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★人物を撮るならこれ一択
やっぱ5Dはいいよねー。本当によくできてる。5Dは初代から買い続けてますが、やはりカメラとして一番安心できるのはこれを置いて他にはありません。
ただまあ、すでにこの手の一眼レフを買っても新しさを感じなくなったというか、ときめかないんですよねぇ。もう一眼レフの時代じゃないのかなーと。なので、カメラとしては抜群の出来ではありますが、僕の中での感動の大きさでいえば4位くらいが妥当かと思われます。
でも、同時にこのカメラ(またはキヤノンのフルサイズ一眼レフ)でなければ絶対に撮れない写真があります。人物を撮るなら、一度でいいのでこれにEF50mm F1.2Lというレンズを付けて撮ってみてください。僕は、たとえ数十万円出しても、そのためだけにこのカメラを買う価値があるとすら思っています。EF50mm F1.2Lについては、またいつかエントリーを書こうかなと思います。
 
 
第3位
オリンパス OM-D


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★万能の小型ミラーレス
今年を代表するミラーレスといえば、やっぱりこのカメラですよね。画質といい、スペックといい、形といい、まさにミラーレスの可能性を数倍大きく感じさせてくれたカメラと言えるでしょう。ミラーレスだったらどれを買えばいいですか?と聞かれたら、僕ならまずこのカメラをお薦めします。誰が撮ってもちゃんとキレイに撮れる、しかもプロが使っても満足できる。バランスの良さではナンバーワンでしょう。
でも、デジカメスキーとしては、ボタン類が小さくてブニュブニュしてたりするのが残念なんですよねぇ。この辺の操作性や質感と、メニューや設定をもう少し分かりやすく改善してもらえれば言うことナシなので、次のモデルでは是非改善して欲しいところです。
そういや、E-5の次期モデルはマイクロフォーサーズのEVFベースで出るって噂もあります。楽しみでなりません。
 
 
第2位
フジフイルム X-E1


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★写真の楽しさを知りたいなら是非
これはなんというか、手元に置いて、いつもスリスリしていたいカメラです。形といい、操作性といい、色といい、描写といい、もうホントに思いっきり僕のツボに入りました。改善されたとはいえやっぱりAFが弱くて、ピントが合わずにイライラすることも少なくないのですが、それを補って余りある魅力。
動きモノを撮るにはちょっとAFが物足りないのですが、風景を撮るならこのカメラに35mmの単焦点レンズを一つだけ付けてお出かけしたいなと思わせる、不思議な魅力があります。
これって何かに似てると思って考えてみたら、フィルムでライカを使ってた頃の感覚に近いのです。そう考えると、ライカ的な感覚をたっぷり満喫できて、本家の数分の一の値段で購入できて、しかも本家よりも遙かに写真を撮りやすいカメラなんて、そうそうありません。そうだ、僕はデジタルのブレッソンを目指すんだ!
完全にデジタル化されて今や“ガジェット”と化しているカメラですが、写真って、本質のところでは「光」という曖昧なものを扱う極めてアナログな作業なんですよね。その楽しさや奥深さを知りたい方には是非試してもらいたい機種です。
 
 
第1位
パナソニック DMC-GH3


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★現時点の最強のミラーレス
パナソニックよく頑張った!の一言に尽きます。
詳しくは前回のエントリーをご参照ください。
 
【レビュー】Panasonic LUMIX GH3は最強の旅&家族カメラだよ!
 
 
番外
フジフイルム X-Pro1

カメラのたたずまいそのものは大好きなのですが、僕は光学ファインダーは全く使わなかったので、X-E1が出た今ではあまり価値が見いだせない一台となってしまいました。マップカメラの陳列棚を経由して、今は他の方にかわいがってもらえていることを願っております。
 
 
★★★
それにしてもこうして振り返ってみると、今年はホントにカメラを「買わされてしまった」なあと思わずにはいられません。マップカメラさんの上場には、僕もかなり貢献した自負があります。在庫してた過去のカメラやレンズは、この一年で、下取り“ドナドナ”でごそっと入れ替わりましたからねぇ… 来年はもう少し買い物には気をつけたいと思います。
 
2012年は、とにかく一言で言えば「ミラーレスの年」でした。確かにフルサイズがもてはやされた一年でもありましたが、それよりもやはりミラーレスが本当に元気で、次から次へと魅力的な機種が登場したことの方が、カメラ業界にとってエポックだったのではないでしょうか。来年はまたさらに面白いミラーレスが出てくることを期待しつつ、あんまり出てくるとまた財布が危険なので、その辺はほどほどでいいんじゃないかと思いながら、2012年はこれにて終了。また来年お会いしましょう。
てか、来年はもう少しちゃんとブログを書きたいなあ。
 

【レビュー】Panasonic LUMIX GH3は最強の旅&家族カメラだよ!

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前置き。まずはマイクロフォーサーズというかOM-Dについて
 
僕は筋金入りのフォーサーズユーザーです。最近ではオリンパスOM-Dを使っていて、ほとんど大きな不満もなく、むしろ「究極のミラーレスじゃね?」と絶賛すらしていました。AFは速くて正確だし、顔認識もすごく便利だし、高感度も相当強くなったし、超小さいし、小型で高性能なレンズは揃ってるし、形は可愛いし、EVFも見やすいし、防塵防滴だし、吐き出す絵を見たらビックリするくらい解像感もあって階調も豊かで、もうこれ以上なにを求めたらよいのでしょう。普段使いのカメラとしても、旅カメラとしても、これ以上のカメラはないと思うんですよね。
そりゃ、5D mark IIIなんかと比べたら色々とアレですよ。カメラとしての万能さや安心感や絵のクオリティで比べたら敵うはずもないのですが、その代わりに、あの大きさと重さを受け入れなきゃいけません。子連れで旅に持っていくことを意識すれば尚更、大きさ重さは重要な要素です。
OM-Dなら、いろんな交換レンズを片っ端からバッグに詰めても、それでも5Dと標準ズーム一本だけよりもずっと軽いしかさばらないわけですからねぇ。
 
気づいたら、僕の撮った写真の中で一番「アタリ」が多いのは、OM-Dになっていました。これは、使いやすさ、撮りやすさ、持ち運びのしやすさのバランスが、他のカメラよりも飛び抜けて良いからなのだと思うのです。普段から一番持ち運べて、一番失敗写真が少ないとなれば、それも当たり前の話ではあります。
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一応お気に入りの一枚を貼っておく
 
そんな感じでOM-D万歳って思ってたので、「パナソニックからフラッグシップのGH3が出るよ」って聞いても、はじめは全く気にもしませんでした。そもそも、あのLUMIX G系のデザインがどうも嫌い。カッコ悪い。なにあのペンタプリズムになりたかったけどなれなかったみたいな形。なにあのなで肩デザイン。GH2とかGF1とかGX1とかも使ってみましたが、過去のパナソニック系のマイクロフォーサーズカメラは、シアン系が強く出るような印象で色が好みじゃない上に、高感度でのディテール処理もどうも好きになれず、加えてインターフェイスもどうも初心者を意識しているのか使いづらくて、結局ほとんど使わなかった記憶しかありません。

最近のパナソニックの交換レンズはすごく充実してきていて、特に高性能レンズを積極的に揃えてきているというのに、ボディがそれに全く応えられないものばかり。なので、レンズはパナソニック、ボディはオリンパス、というのが最近の僕のチョイスでありました。

なのですが、カメラ雑誌を読んでいてちょっと興味がわいたのですね。それはGH3を開発したパナソニックのエンジニアさんのインタビュー記事。正確には覚えてませんが例えばこんな内容。

  • 「徹底してハイエンドユーザーの意見を聞いて、フラッグシップカメラとして使いやすいインターフェイスに刷新した」
  • 「画質やレスポンスではキヤノンの7Dをベンチマークにして、それを超えるものを作った」

おや?もしかしたら、GH3は今までと全く違うかもしれない。
 
そんな予感がしたのです。そして、実機の写真を見たら、これがまた今までのG/GHシリーズとは全く違うじゃないですか!何かカッコいい予感!ということで、今回は「パナソニック頑張れ」的な古巣への想いも込めて、思い切っていくつかのカメラやレンズを下取りに出して、GH3を購入したというわけです。
 
そしたら!そしたらですよ!
 
マジでGH3はすごいカメラでした。これだけ感動したカメラは久しぶりかもしれない(あんまり期待してなかったから、余計に感動しただけかもしれないけど)。旅行に連れて行って少し使い込んでみたら、このカメラは本当に良くできていることがわかりました。旅カメラ/家族カメラとしては、このカメラは現在最強かもしれません。
 
そういうわけで、なぜ僕がGH3を最強の旅/家族カメラと感じたかをいくつかまとめてレポートしてみたいと思います。
 
 
思い出に残るからこそ、画質は妥協したくない
 
GH3の画質はクラスを超えている】
いくら荷物を少なくしたいからと言っても、カメラや写真を愛する者としては、画質だけは妥協できません。せっかくの思い出ですから、やはりできるだけ美しく残したい。家族の写真は、いずれ子供にとっても大切な宝物になるはずです。ならばこそ、多少重くなったとしても、そこは頑張ってキレイな写真を撮りたいと思うのです。
そして今までのフォーサーズ系は「センサーが小さいからなー」というその一点において、やはりどこかに不安がつきまとっていました。それはOM-Dで劇的に解消されて、OM-D一台でも自信を持って旅行に行けるようになったのですが、GH3もそれに全く引けを取らない性能を持っていました。OM-DもGH3も、今や比較すべき対象はマイクロフォーサーズではなく、APS-Cの一眼レフなのかもしれません。
 
例えば、子供をモデルに撮影して、目のあたりを等倍で書き出した作例がこれ。撮って出しで何も加工していません。
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まつげや眉毛の描写といい、ハイライトの産毛といい、ここまで撮れるとは思いませんでした。
 
ちなみに、GH3はOM-Dとは違う方向で絵作りをしている印象です。色々な被写体で試してみて感じたのは、OM-Dは力強くシャープがかかった絵作りなのに対して、GH3の方はもっと繊細な描写を目指しているのではないかということ。
OM-Dでは、人を撮ったときに「皺」がすごくリアルに描写されているのに驚いたのですが、GH3では「髪の毛」の描写に驚いた、といったらその違いが分かるでしょうかね。どちらも性能としては申し分なく、あとは好みの問題でしょう。
 
こちらの作例は高感度撮影した茶碗蒸し。ISO1600ながら、上に乗った海ぶどうが見事に美しく描写されています。
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こういうのを撮ると、特にシャドー部にノイズが乗ったりしがちですが、等倍拡大してみてもノイズらしいノイズは全く見られませんでした。高感度もかなり優秀で、OM-Dとは同クラスか、もしかすると半段から一段くらい優秀かもです。
 
 
家族を撮るからこそ機能が大事
 
【子供やペットはスポーツ写真並みに難しい】
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はしゃいで動き回る子供や犬を撮ろうとして構えたのに、ジーーーッ、ジーーーッといつまでもフォーカスが合わず、結局貴重なシャッターチャンスを逃してしまったという経験、ありませんか?
実はAFの速さというのは、プロだけに求められるのではなく、僕らのような家族やペットを撮ることの多いアマチュアにこそ必要なのだと思うのですね。子供や犬の動きの速さ、動きの読めなさ加減といったら、これはもうスポーツフォト並です。いかに簡単に素早く動体にピントを合わせられるかは、実は画質以前に最も重要だと言っても良いのではないでしょうか。
だからこそ、AFは速ければ速いに越したことはありません。で、このGH3のAFは、すでに本格的一眼レフ並みのスピードと精度を持っているといっても過言ではないと思います。OM-Dのフォーカスも神がかり的に速かったのですが、GH3も全く引けを取りません。
もちろん顔認識AFもしっかり搭載されていますので、家族を撮るのに不安はありません。しかも、AFを顔写真モードにしておいても、いつでもタッチで任意の測距点を選ぶこともできます。よく考えられてますね。
ちなみに、一眼レフのような位相差方式のAFはスピードは速いのですが顔認識のような機能は実現できません。顔認識AFは、コントラスト方式のミラーレスだからこそ可能なのですね。この一点だけでも、一眼レフでなくミラーレスを選択する価値があるというものでしょう。
 
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飛び跳ねるイルカもこんな感じ。イルカはどこから飛び上がるか予想が付きません。そんな中、咄嗟にファインダーに収めてシャッターボタンを押すだけで瞬時に合焦するのは、さすがとしか言いようがありません。
 
 
【GH3のAFは本当によく考えられている】
さらに、位相差センサーに頼らない「コントラスト方式」のAFだからこそのメリットはもう一つあります。
AFを画面上の任意の好きな場所で合わせられて、しかも、そのポイントを十字キーだけでなく液晶画面でそのまま直接タッチで調整できてしまう。しかも、EVFを覗きながら液晶画面をタッチして測距点を指定できるという機能まで!これはプロ用の一眼レフでも絶対にできない、ミラーレスだからこそ可能な新しい使い方です。感覚としては、ノートパソコンのタッチパッドと同じ要領でAFを操作できると言ったらよいでしょうか。
こういう直感的な使い方ができるのは、結果的にシャッターチャンスを逃さずにステキな写真を残せることに繋がります。
 
 
旅/家族フォトだからこそ操作性が大事
 
【撮影モードの切り替えの容易さが勝率に繋がる】
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プロと僕らファミリーフォトグラファーが最も違うのは、被写体がめまぐるしく変わることです。家族で旅行に行けば、ある瞬間は風景を撮り、次にはそこを走り回る子供を撮り、そのあとには妻と子供が並んだところで記念写真を撮る。その合間に、足下の花や空の雲を撮る。そんな感じで、撮るものが次から次へと変わるのですよね。その中で、カメラの設定をどれだけ素早く変えられるかは、プロよりももっと過酷な条件にあるかもしれません。
でも、なぜかそれが簡単にできるカメラって少ないんですよね。プロ用の一眼レフはいざ知らず、初心者用になればなるほど、その辺の操作性はどんどん下がる。
子供が走っている姿を咄嗟に収めたいと思っても、連写モードを変え忘れて最高のシャッターチャンスを逃したり、AFモードを変え忘れてピンぼけを量産したり、シャッタースピードを設定し忘れて被写体ぶれの山だったり、まあこの辺は誰でも経験してることじゃないでしょうか。
GH3で僕が一番感動したのは、まさにそこです。GH3では、撮影モードだけでなく、連写モードとAFモードもそれぞれハードウェアダイヤルとして、簡単に変えられる場所に設けられています。これは、本格的な一眼レフならともかく、ミラーレスでは望むべくもないことでした。機能や性能では実力伯仲のOM-DとGH3ではありますが、この操作性だけはOM-DよりもGH3の方が遙かに上だと断言します。GH3はホントによく考えて作られてる。この一点だけでも、OM-DでなくGH3を選ぶ価値があるのではないでしょうか。
 
まず左肩という贅沢な場所に「連写モード」の切り替えダイヤルです。
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そして、EVFの横には「AFモード」ダイヤル。これのおかげで、ファインダーを覗きながら親指でAFモードを変更できてしまうと言う、超絶便利な使い方が可能です。
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ダイヤルがこんな感じで用意されていると「Aモードでじっくり風景を撮っていたら、子供が楽しそうに走り回り始めたので、それを撮りたくなった!」という場合、

  • モードダイヤルをSにして
  • 連写ダイヤルを「連写」に回して
  • AFを「コンティニュアス」にして

これだけで子供の走ってる姿が撮れるのですよ!設定を変更するための所要時間はおよそ2秒。
うーーん、これはホントに良くできてるとしか言いようがありません。
 
よく「初心者向けはボタンを少なく」ということがまことしやかに語られたりしますが、それってホントかなと思うんですよね。むしろ、初心者だからこそ簡単に設定が変えられるように、ちゃんとボタンやダイヤルを設けた方が良いこともあるんじゃないの?と。GH3みたいなインターフェイスの考え方は、ハイエンドだけでなく、エントリーモデルにも是非検討してもらいたいと思う次第です。一つの設定を変えるために、メニューボタンとか十字キーとかを何度も押さないといけないってのは、これはむしろ操作を難しくして、せっかくのシャッターチャンスを逃すことにしか繋がりません。結果として「写真って難しい」というユーザーを量産してしまうのは、本当に勿体ないと思うのです。
 
 
旅/家族フォトで嬉しい便利な機能
 
【撮ってすぐにiPad miniで写真を見たい】
家族の写真とかって、やっぱり旅先で早くみんなで見たいんですよね。最近は子供(2歳)自身も写真の概念を理解したようで、撮影すると「見せてー」って寄ってくる。それをピックアップしてその場で家族で見るなら、やっぱりiPad miniくらいの大きな画面で見たいものです。
そういうわけで、僕ももちろんEye-Fiカードを使ってはいるのですが、それでもやっぱりまだまだ気楽に使いこなすにはハードルも高いし、バッテリーも気になってなかなか使いこなせなかったんですね。でも、カメラにWiFiが付いたら話は別です。
GH3にはWiFiが付いてますので、そのままスマホやタブレットと直接接続して、撮影した写真を転送したり、さらにはスマホの画面を使って撮影できたりしちゃいます。その場でFBに投稿することもできますし、おばあちゃんに写真を送ることだって可能です。
以前、旅先で撮った写真をポータブルHDDに保存したら、そのHDDを落としてしまって、全てパーになった経験があります。そのショックたるや。なので、「これだけは絶対に残したい!」と思った写真だけはその場でスマホに転送しておけば、バックアップにもなりますよね。
 
 
【料理写真はミイルでお願いします】
僕がもう一つ便利だと思ったのは、ミイルとの連携です。GH3で写真を撮って、それをiPhoneに転送し、そのままミイルに投稿する。これを味わっちゃうと、もうiPhoneで撮ろうとは思わなくなります。だって、やっぱり撮れる絵が違うんだもん…
そういうわけで、沖縄で食べたのはこんなもの。ミイルからの作例です。
 
http://miil.me/p/m4i8
石垣牛のステーキとか
 
http://miil.me/p/m4me
デザートとか。ミイルで投稿するとこういうフレームも付いたりします。
 
 
【水がかかったら!って心配をすると攻められないんです】
子供と海に行けば、そりゃ当然波打ち際で遊ぶことも多いわけです。でも、その時にいちいちカメラにかかる水を気にしてれば、子供と思いっきり遊ぶ事なんてできやしません。そうなれば、よい写真だって撮れません。やっぱり写真は「攻める」姿勢が必要ですからね。
なので、旅&家族カメラには、そういう要素も大事。そして、こういうときも防塵防滴のGH3なら安心です。今回も、子供と一緒にイルカに触れて遊んだのですが、目の前でイルカがジャンプすれば海水もバシャバシャかかります。こういうときも全然気にせずカメラを構えられるのは、やっぱりありがたいですよね。ていうか、子供の前で「カメラに水がかからないように逃げまくるお父さん」だけは演じたくありません。
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水が怖くなければ、イルカさんにもここまで寄れちゃうんですね
 
 
【いざというときは映画並みの動画が撮れる!という安心感も】
僕は元々あまり動画には興味がないのですが、たまに撮っておくと、やっぱり静止画にはない思い出が残せたりしますよね。たまに昔の動画を見返すと、やっぱり感動することも少なくありません。で、その動画に関しては、もともとLUMIX GHシリーズは最も評価が高い伝統があるわけです。動画でなくスチル派であっても、いざという時に、手元にあるカメラがすごい動画機能を秘めてるなんて、そんな心強いものはありません。GH3を買うと、もれなく映画並みの機材が付いてくるようなものですから。そりゃ安心感は大きいですよね。
そんなわけで、動画のことは良くわからんのですが、スローモーション動画、クイックモーション動画、24pや30pなどとカタログに謳っていますし、一度本気で撮ってみたいと思うところではあります。
 
 
【小ささは正義】
そしてなによりやはりこれです。サイズ。これこそが旅/家族カメラにおける最大のポイントです。
結局のところ、どれだけ簡単に持ち運べるか次第で、撮れる絵もまるで変わってきます。今までだったら我慢してレンズを減らして旅に出たものですが、今は「レンズをもう一本」がなんの苦もなくできちゃいますからね。そしてその一本で、今まで撮れなかった写真が撮れるようになる。幸せなことです。
GH3の一番の美点は、やはりフルサイズやAPC-C一眼レフ並の性能、機能や操作性をしっかり維持しながら、サイズはミラーレスのコンパクトさを維持しているところだと言えるでしょう。
機能的にボタンが多かったり、大きなグリップが付いていることもあって、GH3はOM-Dよりも大きいのではありますが、それでも一眼レフよりは遙かに小さいですし、レンズも含めればそのサイズの差は歴然です。
やっぱり、GH3とかOM-DとかX-E1を使っちゃうと、すでに時代はミラーのある一眼レフじゃなくてミラーレスが主役になっちゃったなあと思うのですね。
 
 
そういうわけで結論
 
年の瀬になって今年の一番のヒットが出た、というのが結論でしょう。
僕の今年の私的ベストカメラは、パナソニックのGH3、そして僅差で富士フイルムのX-E1でフィニッシュです。
2012年の買ったカメラランキングはまた別途書こうと思いますので、そちらもよろしくどうぞ。
 



過去一ヶ月くらいに食べた中でのヒットをまとめてみる

おかげさまで、ミイルがはてなブログと連携しまして、食事日記が簡単にまとめられるようになりました。そこで、このミイル簡単ブログ化機能を使って、過去の食事のまとめを作ってみました。
過去一ヶ月に食べたものの中で、特に印象に残ったものだけをピックアップ!


http://miil.me/p/j2nw
光麺
009 & 宅麺という異色のコラボにミイルも協力させていただいたのですが、その企画のために特別に開発されたのがこの麻辣つけ麺。おそらくすでに期間終了でメニューから消えているかと思いますが、これはコラボとかそう言うのと関係なく、ホントに美味しかったです。
年取ると、山椒とかまじ美味しく感じるようになりますよね。


http://miil.me/p/jzg5
タベルナ・メッシーナ
自由が丘のイタリアン「タベルナ・メッシーナ」さんは、カジュアルで美味しくて店員さんもステキで、最近のお気に入りです。特にこのウニのクリームパスタは絶品。近くにお住まいの方は是非。


http://miil.me/p/k9zl
芝浦
あと、駒澤大学とか三宿で焼肉といえば最近は「芝浦」さん一辺倒になっています。なぜかというと、このお店はすごく赤身が充実しているから。年を取ると、霜降りよりも赤身の方が美味しくなるんですよねぇ。(年取ったって話ばっかだな)


http://miil.me/p/krjv
グレートバーガー
念願のグレートバーガーですが、オフィスが渋谷に引っ越したので、実に簡単にいけるようになったのが嬉しい!ウチのエロい取締役に連れて行ってもらいました。自腹だったけど。


http://miil.me/p/kxyc
牛村
数年前に良く行っていた、赤坂のソルロンタンのお店です。
大好きだったのですが、最近あまり行けてなかったので、久々に行って感動しました。


http://miil.me/p/l8q4
ミイルの台所
オフィスを引っ越して一番の楽しみは、社員がかわりばんこに作ってくれるお昼のまかないです。この日はハンバーグでした。みんなで食べるお昼ご飯は実に美味しいですね。


http://miil.me/p/lc4j
久松農園
あと、最近の一番印象的だった出会いはなんといっても久松農園さん。これは里芋ですね。つくばの近くで、有機栽培にこだわった実にユニークな野菜作りをしている方です。この野菜がまたビックリするほど味が濃くて感動したわけです。通販もできるようなので、興味のある方はお試しください。
たまに、豚組しゃぶ庵でもスペシャルメニューとして久松さんのお野菜のしゃぶしゃぶなどを提供しているようです。


http://miil.me/p/ldkj
改めてオフィスランチ。こんな感じでみんなで食べます。


http://miil.me/p/lkob
これも久松さんのキャベツを使ったロールキャベツ。美味しかった!

「美味しい写真の学校」で料理写真が一段上のレベルになった気がする!

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2012年12月9日(日)、ミイル初のリアル写真講座イベント「美味しい写真の学校」が開催されました。
 

 
という、大変豪華なラインナップでの開講です。
 
今回のイベントは、「ミイルで写真の楽しさに目覚め、さらにステップアップしたいと思っているユーザーさん」が対象です。
実は、ミイルには「ミイルが楽しかったので、もっと美味しそうに撮りたいと思ってデジカメを買っちゃいました!」というユーザーさんが少なくないのですね。そう考えると、ミイルが「料理に限定している」のは、むしろ入りやすさ、わかりやすさという点で、写真の楽しさをより感じやすいサービスになっているのかもしれません。
で、そういう「写真好きをどんどん増やしているサービス」という観点から見ると、「カメラの学校」は言うまでもなく、「デジカメで撮った写真を簡単にスマホで扱える」Eye-Fiカードや、豊富なコンデジラインナップを誇るキヤノンさんとは、とても相性が良いのですね。
 
そんな経緯で、今回の豪華コラボが実現したというわけです。
 
今回は、アイファイジャパンさんからEye-Fiカードが参加者全員にプレゼントされるという大盤振る舞いも!さらにキヤノンマーケティングさんからは、ミイルで開催されている「B級グルメなフォトコンテスト」にデジカメを賞品として提供して頂いたり、講座では無料貸出機をお借りしたりと、本当にありがたい応援を頂きました。
 
 
さて肝心の講座の内容をご紹介する前に、ちょっと驚いたことを一つだけ。それは「今のEye-FiってAndroidだと簡単に設定できるじゃん!」ってことです。(コラボしてるのに、今まで知らなくてスミマセン)
僕も以前からEye-Fiカードは利用しているのですが、使い始めると超絶便利なものの、使い始めるまでの設定が超面倒だったという記憶があります。
しかし、接続する端末をAndroidに限定するなら、今のEye-Fiカードはすごく簡単に使えるんですね。当日プレゼントされたのは「MOBILE X2 4GB for docomo」との同等品なのですが、これはカードに同梱されている暗証番号をAndroidアプリに入力するだけで設定が完了しちゃうのです。
これはちょっと便利すぎるんじゃないのか!いいのかこんな簡単で!てかiOSも早く実現してください!
 
というわけで、写真講座です。
 
 
■写真家木村文吾さんによる写真講座
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木村氏は食専門のプロの写真家さんです。作品の一部はこちらのサイトこちらからも見られますので、是非ご覧ください。で、今回はこの木村氏による「美味しい写真の撮り方」講座の初心者編だったのですが、これがまた本当に面白かったのです。いや、マジで感動しました。
 
中でも印象に残っているのは「料理写真は風景写真とも人物写真とも違う」という言葉。これには、僕自身ハッとさせられました。僕は写真が趣味だし、仕事でもミイルという写真共有サービスをやっているくせに、「料理写真」というジャンルを「風景写真」や「人物写真」と同列に考えたことはありませんでした。誤解を恐れずに言えば、風景や人物よりももっと狭い、とてもニッチな「ブツ撮り」の一部だと思っていたかもしれません。
しかし、料理写真はそれだけで立派な写真の一ジャンルなのですよね。確かに、料理写真に求められる技術やスキルは、他のどの写真ジャンルとも違います。風景写真や人物写真がうまいからといって、その人が必ずしも料理を美味しそうに撮れるかというと、そんなことはありません。
風景や人物と料理写真が一番違うのは「見る人の食欲を刺激できる写真が良い写真」ということでしょう。食欲中枢を刺激するような写真は、単に「キレイに撮る」技術だけでは足りません。人の五感全てに目配せして、人が「美味しそう」と感じる瞬間とは何かを考えぬかなければ、やはり人がよだれを出すような写真は撮れないのでしょうね。
講座の中では、「シズル感とは、視覚以外の五感に訴えかけるものを写し取ること」という言葉もありました。まさに料理写真の神髄はそこにあるのでしょう。まさに、食への愛にあふれた内容で、むしろ僕らミイルのスタッフ全員が学ばなければならないことばかりでした。
 

【料理撮影のポイント】
まず美味しそうに撮る基本中の基本として「ぶれない構え方」が不可欠。
基本的には「左手だけでカメラを支える」こと、そして「右手はシャッターを押すだけ」にできること。
右手でカメラを支え、右手でシャッターを切ると必ずぶれるので注意。
この構えの基本は、一眼でもコンパクトカメラでも同様。
 
 
★★★
 
1)カメラの設定

  • ズームはできるだけ望遠側にする
  • よりボケを使う(絞り値を小さく)→ 雰囲気が柔らかくなり、主題が引き立つ
  • マクロを使えたら積極的に使う

 
 
2)アングル
おすすめアングルその1:実際に料理を食べるときの目線(45°)を崩さずに撮る

  • 実際、和食などクラシックな料理写真は45°、パンフォーカスが基本だった
  • 「美味しそうだな」と思った瞬間に、そのアングルから撮ることで、迷いのない写真が撮れる

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「日常のアングル」からしっかりぶれないように構えて撮る木村先生
 
おすすめアングルその2:真上から撮る(非日常のアングル)

  • 日常生活では、普段料理を真上から見ることはほとんど無い。だからこそ、真上から撮ることで料理の新しい魅力が見える

 
 
3)構図
写真を分析する方法はたった3つ。「点」と「面」と「線」。

  • 点:見せたい一点だけ、そのシズル感を強調する。そこに視線を集中させる
  • 面:器の存在感なども含めて撮影する。全体を見て欲しい場合。点だと飽きるが、面だと飽きづらい写真が撮れる。前述の真上から撮るというアプローチがこれに近い
  • 線:視線を誘導して動かす見せ方。動き方は色々な構成の仕方があるが、料理人の手を入れたりすることで、手に沿って視線が誘導される効果が出る

 
 
4)フレーミング

  • 伝わらない写真はだいたい要素が多すぎる
  • 古くから言われているが、やはり「写真は引き算」
  • 何でも引けばいいわけではないが、余計なモノは入れない

 
 
5)心構え

  • 写真を撮るときにあまり悩みすぎない
  • いつも「出てきたらすぐ撮りたい」と心がけている
  • 「熱いモノは熱いうちに、冷たいモノは冷たいうちに」という、料理人やお店の人の想いを理解して撮ることが大事
  • 出てきたらすぐ撮れるようにするには、撮る前にイメージを高めておいて、どう撮るかを大まかに決めておくことが大事
  • さっさと撮るとみんな平和でいられる

 
 
「1から4を常に意識して、さらに5を実践することで、あなたの料理写真の技術は確実に一段上のレベルに進みます!」
 
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以下は質疑応答などの内容です。
この内容は、第二回の講座以などで改めてきちんと取り上げますがご参考まで!
 
おまけ1)"シズル感"を出すには

  • 「視覚以外の五感に訴えかけるもの」を表現する
  • ライティングが大事(逆光や半逆光だと美味しそうに撮れる)

 
おまけ2)「一人で箸でお肉を持って、それを撮る」には

  • 左手でカメラを持つ
  • 右手で箸を持ち、お肉を鍋に
  • カメラはセルフタイマーで自動的に切れるようにする
  • ピント合わせは左手でなく、右手で箸の位置を前後させて合わせる

 
おまけ3)キレイに湯気を写すには

  • 逆光だと撮りやすい
  • 背景が暗いと撮りやすい
  • 普通に目に見える湯気はどんなカメラでも撮れる(細く一筋、銀杏から登る湯気、的なものはプロにお任せください)

 
おまけ4)夜の飲食店で美味しそうに撮るには

  • 美味しそうに撮れる照明の位置を探しましょう。真上でなく、少しずらした方がいいかも。
  • 基本的にはストロボは使わない。感度を上げ、ぶれないよう構えるなどしてできるだけ使わない工夫を。
  • どうしてもストロボを使わないといけない場合は、壁際に料理を置いて撮る、ストロボの光が直接料理に当たらないように紙で遮る、等の工夫を。

 
★★★
 
■そういうわけで
今回はユーザーさんの参加率も限りなく100%に近く、大盛況でした。
講師にも協賛にも恵まれましたが、やはりこれは何よりもミイルがステキなユーザーさんに恵まれているからに他なりません。
会場では、しゃぶしゃぶが出てもしばらくの間どのテーブルも手を付けず、みんな写真を撮りまくっているという絵もなかなかお目にかかれるものではありません。(^^)
これをきっかけに、一人でも多くの方が料理写真の楽しさに目覚めて頂ければと思っています。
実際、会場に来てくれたユーザーさんの写真を見ると、明らかに過去の写真とはレベルが変わっている人もちらほら!これは本当に驚きましたし、心から嬉しかった!!
 
また第二回も是非やろう!という話になっていますので、その時はまたたくさんの方にご参加頂きたいと思っています!
ご参加頂いたユーザーの皆さん、木村先生、そしてアイファイジャパン・デジタルハリウッドキヤノンマーケティングの皆さん、本当にありがとうございました!!!